昨日はニュースを平易なフィンランド語で話してくれる「YLE Uutiset selkosuomeksi(YLEのニュースをやさしいフィンランド語で)」というサイトのことを書きましたが、この”selkosuomi(やさしいフィンランド語)”という言葉は、普段使っているオンライン辞書には載っていませんでした。
そのかわり“selkokieli(分かりやすい言葉)”というのは載っています。“selko”を私は「やさしい」と意訳しましたが、本来は「分かりやすい・理解しやすい」ということなんでしょうね。そして、そこにあった例文が非常に興味深いと思いました。
Selkokielellä, kiitos.
英語で話してくれない?
Selkokielellä!
英語を話せよ!
https://ja.glosbe.com/fi/ja/selkokieli
なるほど、フィンランド人にとっては英語のほうが簡潔で分かりやすい、あるいは堅苦しくない言葉なのでしょうか。そんなことはないだろうと思いますが、先週のオンライン授業では、添削されたクラスメートの作文に「フィンランドではフィンランド語の本が高い」という話題がありました。先生によると、フィンランド語の本は一万部も売れれば大ベストセラーで、ほとんどの人は図書館で借りて読むため、売られている本はとても高価なんだそう。
そういえば、ヘルシンキ最大の本屋さん「アカデミア書店」でも、書架に並んでいた本の半分以上は英語の本でした。母語がフィンランド語であることは間違いないのですが、国民の大多数が(それも若い世代ほど)英語を話すことができるというフィンランドの言語環境がしのばれます。加えてすべての外国語の本をフィンランド語に訳すという翻訳環境もそこまで充実していないのかな、と想像します。
それでもYLE(フィンランド国営放送)が「やさしいフィンランド語」のニュースサイトを作るなど、フィンランド語を守り普及させていこうとする取り組みは素晴らしいと思います。でもこれも、ひょっとするとフィンランドに移住してきた外国人労働者のために提供されているコンテンツなのかもしれません、Duolingoのスウェーデン語版ユーザーが多いのは、実はスウェーデン国内の移民が多く利用しているからという話を聞いたことがありますから。
しかし一方ではこんなサイトもありました。こちらのサイトによれば「やさしいフィンランド語」は高齢者や、知的障害・発達障害などのある人々のために用いられているとのこと。ということはやはり「selkokieli(わかりやすい言葉)=英語」と解釈するのは間違っているのかもしれません。今度詳しい人に聞いてみようと思います。