インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

通訳スクール

  出張中は欠席していたので、三週間ぶりのスクール。
  教材は初見で臨んだ、駐中国大使のスピーチ。中国を離任するにあたって、某大学で日本語科の学生を相手に講演したものだそうだ。大きな段落ごとに音声を聞いて、まずは中国語で大づかみにサマライズ。そのあと詳細な逐次。全体を一通り終えてから通しで同時。
  サマライズする時、ややもすると細部に入り込みすぎる。あれもこれもと言及したくなるが、ぐっと抑えて大きな柱だけ箇条書きするようにする。一度サマライズするので時間の余裕があり、しかも他の人がサマライズして自分が詳細な逐次をする場合、サマライズを聞きながら自分のメモを整理できるので、わりあい正確な逐次の訳出になる。同時は生徒が一人ずつやって、終わったあとに批評しあう。
  スピーチの内容はそれほど難しくない、というか、中国の名門大学生相手にこんな内容でいいのか大使、という感じ。日本語科の学生相手に日本語で講演するからと手加減したのかもしれないが、あちらの日本語科学生、しかも日本の大使が正式に行う講演会へ出席を許されるくらいの学生だったら、あまり見くびらない方がいいと思う。
  内容は難しくないが、同通になると手強かった。音声が実際の講演のものではなく、スクールの職員が朗読したものだからだ。スピードが一定でほとんど抑揚がなく、冗語もポーズもない。こういうのはやりにくい。先生は「抑揚のない棒読みは脳への刺激が少ないんでしょうね」とおっしゃっていたが、確かにそうかもしれない。それまでほとんどストレスを感じずに訳していたその発言者が、文章を棒読みしはじめたとたん訳しにくくなるという経験を何度もしたことがある。