インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

まだまだアテンド

  日光から東京に移動。日光での二連戦はいずれも大差で負け。アウェーということもあるけれど、やはり実力の差がありすぎる。会場もほぼ百パーセントが日本チームを応援する地元ファンだが、それでも北京語で「○○チーム頑張れ」などと書かれた垂れ幕を用意してくれていたりして、はるばる大陸から遠征してきた選手にも笑顔が。
  東京に着くなり新宿で自由行動。本当は試合会場に行って練習の予定だったのだが、急遽何もかもキャンセルだ。今日はもう“党委”の二人だけでなく、チーム全員が観光団と化していた。あんたら一応プロ選手、ということは大陸では公務員なんでしょ……などと無粋なことはもちろん私も言えず、ビックカメラマツモトキヨシなどをはしごする買い物につきあうはめに。
  しかしこの自由行動というのはかなりリスキーだ。予定にない行動にまでアテンドして、万一事故が発生したらどうなるのか。一介の通訳者(というか、この段階で私はもはや通訳者ではなく、通訳ガイドですらなく、ただの便利屋さんという感じだが)では責任など負いきれない。
  みなさん悪い人じゃないんだけどねえ。公務員の出張というのはどこの国でもこんなものなのかな。

拉雞巴倒

  今アテンドしているスポーツチームのような、大陸は東北地方の人がよく使っている。“雞巴”は男性の××で、これもまあ一種の“髒話(下品な言葉)”だが、それほど深くて重い意味はなく、単に“拉倒(放っておく)”に“雞巴”を組み合わせただけのよう。ちょっとコミカルな感じが出るのかな。親しい者同士でくだけた会話をしていて、相手の言葉を茶化したり、まぜっかえしたりする時に使うようだ。
  日本語にすればたぶん「ほっとけ」「バッカじゃねえの」「アホとちゃうか」「勘弁しろよ」「マジかよ」「おいおい」「こらこら」くらいの意味なんだろう。台湾で多用される“拜託”“神經”に近いかな?

「日中友好」は日本を滅ぼす!

「日中友好」は日本を滅ぼす! 歴史が教える「脱・中国」の法則

「日中友好」は日本を滅ぼす! 歴史が教える「脱・中国」の法則


  またまたセンセーショナルな題名をつけちゃって……(^^;)。でもまあ、大陸は四川省生まれの日中問題研究家・石平氏による語り口はなかなかおもしろい。
  氏が主張するところの骨子は、古来大陸の王朝と深い関わりを持ちすぎた、あるいは深入りしすぎた日本の政権は決まって短命に終わるか受難の時代をまねく、というもの。裏を返せば、大陸とほどほどに没交渉のほうが日本は繁栄してきた、というのだ。
  ここだけ取り上げると、これもまた偶然をことさらに拡大解釈しただけの「トンデモ本」的な雰囲気が漂うが、石平氏の主張は「かの国」への無原則な接近は危険、ということだ。氏にとって「日中友好」という言葉は、その無原則さを象徴するフレーズであるらしい。
  もちろん敵対をあおるわけではない。ただもっとクールに現状を分析して、是々非々でつきあいなさいと石平氏は言う。当のチャイニーズからそう言われる我々も何だか間抜けなような気がするが。顔つきが似ているとか、同じアジアの仲間だからとか、同文同種だからとか、数々の幻想を持って「かの国」の人たちとつきあおうとする、脇の甘すぎる人々に警鐘を鳴らす本。