インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

世田谷一家殺人事件―侵入者たちの告白

  二〇〇〇年の暮れに発生した凄惨な事件。縦割りで官僚的な警察組織の弊害が事件解決を長引かせるなか、筆者は独自の情報網を駆使して犯人像に迫っていく。
  この本に書かれていることがどこまで本当なのかは分からない。功名心がからんだ犯人の動機も何となく腑に落ちないし、被害者が狙われることになった理由も「ほんまかいな」という印象。が、その身も蓋もないと言っていい結論(というか今後の展望)には、果てしなく暗澹とした気持ちにさせられる。
  筆者の齊藤寅という名前は初めて知ったが、当然仮名なのだろう。『三億円事件』(一橋文哉著)文庫版の解説でビートたけしが、「一橋さん、今そのこと(世田谷の事件)を『新潮45』に書いてるんだってさ」と書いていたのを思い出し、あれが単行本にまとまったのかなと思ったけれど、どうやら違うらしい。