インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

ある子供

  救いがあるようなないような、不思議な映画。
http://www.bitters.co.jp/kodomo/
【ネタバレがあります】

  子供達にかっぱらいやひったくりをさせ、その上前をはねて生活している二十歳の青年・ブリュノ。それだけでも充分ふがいないのに、恋人ソニアを妊娠させ、子供が生まれてもほとんど何の感慨もない。しかも借金の返済のために、その子供を売り飛ばしてしまうという究極のダメ男だ。
  でもって、そのことを知ったソニアが驚愕のあまり倒れるに至ってようやく我に返り、子供を取り戻しはするのだが、当然ソニアの家を追い出される(彼女のところに転がり込む「ヒモ」生活だったわけね)。
  それからはもう段ボールにくるまって寝るしかなくなる。借金取りに追い回されてボコボコにされ、ひったくりをしたものの捕まりそうになり、河の中に身を隠して手下の子供が死にかけ、幾何級数的に「ダメっぷり」が加速して……。
  映画の背景になっているのは、地方の工業地帯とおぼしきフランスの街。フランスやイタリアの映画って、それがどんな悲しい物語であろうとも、背景の街並みに心引かれるものがある。ストーリーとは全く関係ないところで異国情緒を楽しんでいる自分がいるのだ。
  ところがこの映画では、街並みに全然心引かれなかった。いつも雨雲が低くたれ込めていそうな、いかにも景気が悪そうな街。アパートは安普請で、インスタントコーヒーを湯沸かし器のお湯で溶いて飲むような「がさつさ」、そんな生活臭をうまく描いている。こういうリアリティに私は引き込まれる。
  それにしても……ブリュノ自身はもちろんだが、このダメ男にとりつかれたソニアも愚かな選択を繰り返すなあ。なーぜそこで許す!? と画面にツッコミを入れたくなった。★★★★☆。