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インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

中国語を学ぶ人のためのアドバイス

ことば 中国語を学ぶ

 年が改まって、この一月から、もしくは四月の新学期から中国語を学び始める方もいらっしゃると思います。以下は、私が入門クラスの開講日にいつもお配りするささやかなアドバイス。日仏学院の入門クラステキストに載っていたアドバイスに触発されて作ったものです。
 ちなみに、中級の方向けにはこちらを配っています。→中国人と話すときにひるまないための八つのヒント

1.日本人にとって中国語は学びやすい?

 中国語は漢字を使っているので日本人にとって学びやすいと思われますか? 実は同じ漢字をつかっているために、日本人にとってはかえって学びにくいと言われています。
 例えば「学」という漢字を見てください。日本人はこの文字を見たとたん、ほとんど無意識のうちに頭の中に「gaku」、もしくは「manabu」という音が響きます。ところが中国語ではこの漢字を「xué」と読むのです。同じ漢字なのに読み方が全く違うため、日本人が中国語の発音を学ぶときには、漢字の知識がかえって妨げになります。漢字を知らない、例えば欧米の人などなら「学=xué」とダイレクトに結びつくのですが。
 ただし、発音を完全にマスターしてしまえば、逆に日本人にとってぐっとフレンドリーな言葉になります。漢字が持っている意味を、その文化背景まで含めて深く理解できる私たちは、欧米人に比べて大きなアドバンテージを持っていますから。
 というわけで、日本人にとって中国語は、「初めは厳しく、その後は(比較的)楽」といえるでしょう。

2.発音が何より大切です!

 中国語は発音が何より大切です。「中国語、発音よければ半ばよし」という言葉もあるくらいです。また中国語の発音には独特のメロディ(声調)があるため、そのメロディどおりに発音しなければまず通じません。つまり、日本語や英語などに比べて「ブロークン」を許容する幅が極端に狭いのです。
 みなさんとって最初の目標は、中国語の発音を表すアルファベット「ピンイン」をマスターすることです。最初は漢字を用いず、ピンインを十全に読めて、書けて、聴けて、発音できることを目指します。
 辞書を引くときや、パソコンで文字を打つときにも普通は「ピンイン」を使います。したがって、「ピンイン」が完全にマスターできないと、中国語の上達が望めないだけでなく、仕事などに使うこともできません。漢字ばかりで表記される中国語独特の雰囲気を味わいたいお気持ちはわかるのですが、その前にしばらくはアルファベットを格闘していただくことになります。

3.カタカナ・ひらがなは御法度です。

 「ピンイン」は中国語の漢字を読むためのもの、日本語で言えば「振りがな」にあたるものです。したがって、「ピンイン」にカタカナやひらがなで読みを書くのは、かなにかなを振るようなもので意味がありません。「xué」に「シュエ」とかなを振っても意味がないばかりか、それは不正確でもあります。中国語の音は、日本語のかなでは表記ができないのです。
 学習中はカタカナ・ひらがなを使わないようにしましょう。「ピンイン」をダイレクトに読み、書き、聴き、発音するようにしてください。

4.語学はスポーツのようなものです。

 中国語を聴き、話すことができるようになるためには、教科書を読み、説明を聞くだけでは不十分です。
 みなさんにとって目新しい中国語の音を発音するためには、口をどのような形にし、舌をどのような位置に置き、息をどのように出すかを学ぶ必要があります。つまり、これまで日本語を発音するためだけに使われてきた身体を、中国語も発音できる身体に作りかえていくわけです。発音の学習段階はそのための身体トレーニングだと考えてください。
 スポーツをするときのようにリラックスして、失敗を恐れず、何度も何度も練習を繰り返しましょう。喉を枯らすことのないよう、水やお茶などの準備も忘れないでください。

5.授業中はなるべく前を見てください。

 教科書やノートに集中しすぎてしまうと、トレーニングから切り離されてしまい、講師の説明を聞き逃すことにもなります。また下を向いていると喉が閉まり、それだけでも正確な発音の習得にとって妨げになります。
 大切な事項については後から教科書のページをお伝ええしたり、必要に応じてまとめのプリントを配ったりしますので、授業中はできるだけ前を見て、音を聞き、声を出すトレーニングに集中してください。
 辞書は当分の間使わなくても大丈夫です。辞書を必要になった時点で、講師からご案内いたします。授業中にもし分からない言葉が出てきたら、遠慮なく講師にご質問ください。それもできれば中国語で。質問をするときの中国語についてもおいおい学んでいきます。

6.予習ではなく復習を!

 基本的に予習は必要ありません。お一人で次の内容を学ぶと、間違って理解してしまう可能性もあります。
 そのかわり、復習はできるだけ行ってください。それも、なるべく毎日。必ずしも机に向かう必要はありません。教科書に付属のCDを聴き、それを自分で発音してみるだけでもけっこうです。時間があれば、さらにそれをノートにピンインで書きとってみましょう。CDの音声を聴き→自分で発音し→ピンインで書きとり→暗記する。これを繰り返すだけでも十分に学習効果は上がります。
 ボキャブラリーを増やす必要もあります。教科書に出てくるものだけで結構ですので、ご自分なりの方法で(昔ながらの単語帳でも、スマホの暗記用アプリ――例えば、これ――などでも)新しい単語をひとつひとつ自分のものにしていきましょう。ここでも、できるだけ声に出して覚えることが重要です。言葉は何よりもまず「音」なのですから。

7.間違いを恐れず発言しましょう!

 授業では遠慮なく、積極的に、大きな声でしゃべるようにしてください。ここではKY(空気を読まない)も大歓迎です。
 表現力を確実なものにするため、口頭で返答するときは、「はい」や「いいえ」だけではなく、なるべく長い、完成した文章全体を言うようにしてみてください。
 またみなさんの貴重な時間を有効に使うため、他の人が答えているときも、自分でも小声で答えを言ってみましょう。
 そして、なるべく言葉に表情をつけ、イキイキと「演じるように」話してください。ロールプレイ(役割を決めて話す練習)では、話す内容があなたの実際の状況や思想信条と違っていても構わないことにします。そう、語学には多少の「芝居っ気」も必要なのです。