インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

不動産会社のWeb広告にしみじみ

先日ネットで検索をしていて、見つけた資料のウェブサイトへ読みに行ったら、こんなWeb広告が現れました。みなさまご案内の通り、Web広告は個々人の検索や閲覧の履歴からその人に特化したものが表示されるようになっています。

これは台湾の不動産会社が、在日台湾人向けに出している広告のようですから、私のような人間には関係がありません。その意味では私をターゲットにしたのは「はずれ」だったわけです。とはいえ、当たらずといえども遠からず。私は中国語を仕事にしていますし、日常的に台湾とも関わりがありますし、きっちりネットにプロファイリングされちゃってるわけです。すごい……というか、ちょっとこわい。

それはさておき、なかなか味わい深いのがこの広告のコピーです。「海外から親が資金援助して東京に家を買う場合、贈与税はかかるの?」ーー私など若い頃から今に至るまで小さな借家(部屋)暮らしで、不動産を買うなど夢のまた夢。親にも自分にも資産といえるようなものはほどんどないうえに、今後歳を取ったら賃貸さえ難しくなるかも、どうしよう……というような人間には、うらやましすぎます。

でもいまは円安ですし、この機に購入を検討している方は多いのかもしれません。それにチャイニーズの方々は伝統的に、お子さんにとにかくお金を使おうとします。日本人だってもちろん子どもを大切にはしますけど、私見では絶対的な金額はいざしらず、所得との相対ではチャイニーズのほうがはるかに子どもにお金をかけるようにお見受けします。


井上純一がんばってるのになぜ僕らは豊かになれないのか』24ページ

もちろん資産や不動産の多寡のみで人の幸不幸をはかることはできませんし、そもそもこんな文章を書いていることじたいが「はしたない」んですけど、ネコちゃんと一緒にほがらかに微笑むお若い方が載ったこの広告を見て、これが私たちの「いま」なんだなあ、としばし感慨にふけりました。