インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

部分最適だけれども上から見たら福笑い

時事通信世論調査で、岸田内閣の支持率が三割を切り27.4%になったと報じられていました。確かに、岸田首相自身にはそれほど大きな不祥事や醜聞はないものの、円安、物価高、統一教会問題、安倍氏国葬東京五輪にまつわる贈収賄、敵基地攻撃能力の是非と軍事費増強、マイナンバーカードの取得強制化などなど、政権浮揚の材料には乏しいかもしれません。あ、岸田首相の長男氏を首相秘書官に起用というのもありましたね。

私は、岸田首相は「聞く力」などといいながら何も聞いていないじゃないか、何もやってないじゃないか……などと雑駁なことを言って溜飲を下げたいとは思いません。たぶん政治家も官僚も、それぞれの「現場」でそれなりに考えて奮闘してはいるんでしょう。もともと政治や行政の仕事は地道で辛気臭く粘り腰が必要なもので、むしろなにかスパーンと胸のすくような政策が次々に、などという方がよほど危ないと思っています。

ただ、例えば統一教会問題など、右だの左だのといった政治思想やイデオロギーを越えて果断に取り組めそうなものに対しても明らかに腰が引けているのはちょっと不思議です。まあこれは自民党内の「現場」で、お家事情との調整に腐心しているからなんでしょう。

先日あるニュース番組で、解説者のお一人が岸田内閣の現状を評して「部分最適だけれども、上から見たら福笑い」と言っていました。うまい言い方だなあと思わず笑ってしまいました。なるほど、それぞれの「現場」ではみんなそれなりに最適を目指して奮闘しているけれども、それを全体的に統括して目配りなり指示なり調整なりをする能力がトップに、つまり岸田氏に欠けていると。


https://www.irasutoya.com/2014/05/blog-post_3192.html

これ、ひょっとすると岸田内閣に限らず、いまの日本のあちこちで見られる現象なのかもしれません。そういうリーダーが育たなかったというか、あえて育ててこなかったというか。同じニュース番組では別の解説者が「日本はエリート教育を否定し、いろんな政治家が思いつきで政治をしている」というようなことも言っていました。

う〜ん、超エリートが政治を引っ張って、次々にスパーン、スパーンと政策を繰り出す、いまちょうど五年ぶりの重要会議をやってるどこかの国みたいになるのも困るけど、かといって目と口が上下逆になっているような福笑いではこれも困ります。エリート、というか専門家が多く閣僚になっている台湾みたいな形は、与党の国会議員が年功序列的に持ち回りみたいな日本よりはいいなあと思いますが、こちらの記事によると、それはそれでリスクがあるんだそう。

mainichi.jp

野党がもう少し強くなって、与党と拮抗するようになるのがせめてもの良策なのかな。もちろんそのためには私たち有権者がもう少し「おバカさん」から脱して賢くならなきゃいけませんけど。