先日、自宅近くのスーパーまで買い物に行って、ブラブラと返ってきたところ、スーツ姿(上着はなし)の若い男性おふたりが「お願いしまーす」とチラシを配っていました。
こんな蒸し暑い日に大変ですよね、と思って受け取ったら、建売分譲住宅のチラシでした。受け取ってくれる人は少ないのか「すぐにご案内できます」「ちょっと見ていかれるだけでも」とぐいぐい詰め寄って来られたのですが、「ごめんなさい、けっこうです」と申し上げて家まで戻ってきました。
家に戻ってあらためてチラシを見てみたら、カーポートつき3階建ての住宅が5棟並んだ物件。ちょっと台湾の“透天厝”に雰囲気が似ています。この間取りからするに、30代くらいで、お子さんがいらっしゃるようなファミリー層向けなのでしょう。
しかし驚いたのはその価格です。一番安くても9480万円(税込み)。ほぼ1億円じゃないですか。もちろんローンを組むのでしょうけど、仮に30年くらいでローンを組んだとしても、たぶん毎月の支払いは20数万円くらいにはなるはず。
そんな高額な物件を路上のチラシ配りで売るってのもなんだかものすごくシュールな感じがします。それよりになにより、こんなくたびれた風体の初老のオジサンにこのチラシを渡してどうするんですか。
仮に私にものすごい資産があって、家を買うつもりがあるとしても、たまたま通りかかった路上で配られたチラシを見て「あら、いいわね」ってんで購入するかしら。いや、そうやって購入する、購入できる方も世の中にはいるのかもしれません。
若い頃からほぼつねにカツカツで、マイホームどころかマイカーさえ持つことを想像だにできなかった*1私みたいな人間からすると、本当に驚くような世界が自分の隣には広がっているんだな……と、その彼我の隔たりにある種の感慨を覚えてしまいました。