インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

サイレントエアポート

先日、観光バスのバスガイドさんが「ガイド過多」なんじゃないかという感想を書いたのですが、観光案内の他にも過多だなと思ったのは、各種の注意事項です。その日はちょうど前日の夜に大雨が降った後だったのですが、観光スポットに到着してバスを降車する際に、ガイドさんが繰り返し「水たまりがありますからお足下にお気をつけて」とか「対向車の水はねには十分注意なさって」とか、とにかくそんな注意喚起をたっぷりなさるのです。


https://www.irasutoya.com/2013/03/blog-post_6342.html

もちろん親切心でおっしゃっているのは分かるのですが、正直に申し上げて大人の観光客にそうした注意喚起は不要だと私は思います。しかしこれもまた一部の乗客に「ガイドが前もって注意してくれなかったから水たまりで靴が汚れた」などとクレームを入れる輩がいて、それでリスク回避的にアナウンスするようになったのかしら。きっとそうなんでしょう。観光バスに限らず、日本の公共交通機関にはとにかくそんな「リスク回避型」のアナウンスや表示が溢れかえっていますから。

それを「おもてなし」だと持ち上げる向きもありましょうが、単に私たちひとりひとりが自立・自律できていないからではないかと思います。自己責任という言葉は当今、冷たい物言いの代名詞みたいになっちゃってますけど、本来はそれぞれがそれぞれの自立と自立でもって自分の行動を主体的に考える、つまり究極の自由を希求するものではないかと考えます。

以前にもこのブログに書いたことがありますが、諸外国には“Silent Airport”という取り組みを推進している空港があります。アナウンス過多、注意喚起過多を改め、本当に大切な、あるいは緊急を要する情報伝達だけに絞るという方針です。

edition.cnn.com
www.euronews.com

私たちの公共交通機関も、こうした「大人の」考え方を見習ってほしいと切に願います。そう、くだんのバスガイドさんのガイド過多に感じたのは、つまりは自分が大人扱いされていない、まるで子どもを諭すかのような口調だなという一種の不快感だったのだと思います。

qianchong.hatenablog.com