インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

介護脱毛

一時期「介護脱毛」に興味を持っていろいろと調べたことがありました。もう亡くなってしまった義父と同居したり、妻がくも膜下出血で入院して認知症と変わらない症状を呈していた頃にあれこれ世話をしたりという経験があって、じゃあ「自分の番」になったときはどうだろうと考えたからです。

介護脱毛とは、自らが介護されるかもしれないという将来を想定して、あらかじめ「アンダーヘア」を脱毛しておくことです。脱毛業界(?)では「VIO脱毛」と言われることもあります。ネットで情報を集め、実際に脱毛治療を行っているサロンに行って説明を聞いたりカウンセリングを受けたりしました。いろいろ調べて、結局私はやらないことにしないことにしたのですが。

脱毛サロンでのカウンセリング

サロンでの説明は丁寧で、押し売り的なところも一切ありませんでした。ただ、最初は医師が口頭で説明してくれますが、医療的な部分だけ(たぶん法律で義務づけられているのではないかと思いました)で、その後はビデオを見るという形でした。小さなブースみたいな診察室で、一人ビデオを見ていると、ごめんなさい、若い頃に引っかかりかけたことのある某宗教団体の勧誘を思い出してしまいました。

そのサロンは、ウェブサイトの説明では「脱毛を担当するのは全員男性スタッフ」とのことでしたが、カウンセリングで細かいプランなどを説明してくださったのは女性スタッフでした。私はこんなオジサンですからあまり気になりませんが、お若い方は女性にVIO脱毛のことを聞いたり聞かれたりするのはちょっと抵抗があるかもしれないですね。

ウェブサイトの説明では分からず、カウンセリングで初めて知ったことといえば、こうした脱毛はけっこう時間がかかるという点です。レーザー照射を行ういわゆる医療脱毛でも、一度の照射で効果があって抜けるのは、毛根が成長期にあるものだけ(体毛は成長期→退行期→休止期のサイクルを繰り返しながら生えかわるのだそうです)で、全体の10%から20%程度なのだそう。

つまり、何度も照射を繰り返す中で、生えかわりを待ちながら徐々に脱毛の度合いを高めていくようになっているんですね。一気に脱毛完了とは行かないわけです。最低でも5回、ひと月からふた月ほどの間隔を開けつつ(後ろに行くほど間隔があくそう)通院しなければなりません。個人差もあるでしょうけど、一年くらいはかかりそうです。

カウンセリングでは、脱毛に伴うリスクもきちんと説明してくれます。私は説明を聞きながら、脱毛って思っていたよりもけっこう大変そうなんだなと思いました。というか、本来自然に生えているものを毛根を破壊(説明でもこの言葉を使っていました)してまで処理することの不自然さが逆に際立ってくる感じです。

レーザー照射の際はそれなりに痛みもあるそうで、必要に応じて塗布薬型の麻酔や、笑気麻酔などもオプション(別料金)で使うことができるそうです。ただ、その場で「ちょっと痛いから麻酔を」というわけにはいかず、前もって申し込んでおく必要があるのだとか。カウンセラーさんは、たいがいは最初麻酔なしでやって、その時の痛みの程度によって次回から申し込む・申し込まないを決める人が多いとおっしゃっていました。

それから施術前には自身で剃毛をする必要があります。これは、慣れればどうってことないと思いますけど、けっこう大変そうではあります(特にVIO部分は)。

料金は、私がお話を聞いたところだと5回の照射で10万円弱といったところ。その後数回追加で照射して合計12〜3万円くらいが目安のようです。いろいろと調べた他のサロンもだいたい同じような価格設定でした。

私がうかがったサロンは20代から30代と思しき男性でかなり混み合っていました。サロンによっては「誰にも合うことなくプライバシーを確保」と謳っているところもあります。オフィス街だと見知った顔に会うこともありそうですね。ただし、患者名は名前ではなく番号で呼ぶなど、配慮もされているようでした。

やっぱりやらないと決めた理由

調べて、話を聞いた上で、私は「やっぱりやらない」と決めましたが、これはネットでの宣伝がこの脱毛ブームをかなりかさ上げしているんじゃないかと思えたからです。特にSNSなどでは脱毛、とりわけ男性の脱毛や、介護脱毛の宣伝がかなり強力に行われている印象を持ちました。介護脱毛という言葉そのものが、脱毛業界から打ち出されてきたもののようですし。それだけ未開拓の市場で各サロンの稼ぎどころなのでしょう……と言っては失礼かもしませんが。

ネットで「脱毛」とか「介護脱毛」、あるいは「脱毛 メンズ」などで検索すると、おおむね脱毛を勧めるサイトや広告が上位に並びます。そうした情報をかきわけて、留保を促す意見のなかからいくつか引用いたします。ただし、こういうのは賛否いずれの意見にも自身の「確証バイアス」がかかりやすい領域なので、その辺は注意なさってください。

一方で、高瀬さんは「慎重に処理をした方がいい部位もある」と注意も促す。アンダーヘアだ。「毛が生殖器官をウイルスや細菌などからブロックしている。毛をなくせば、その機能の一つが減る。研究のデータはまだないが、感染症などのリスクが高まる可能性はある」と話す。
https://www.asahi.com/articles/ASNDS6RQFN9ZPTFS001.html

人間の陰部はほぼ粘膜で覆われ、粘膜の再生能力はとても高く、傷ついてもすぐに修復されます。とはいえ、繰り返して擦れたりする機械的刺激に対しては、皮膚ほど強くはありません。だからこそ、周辺を毛で覆うことで保護するために、進化の過程で陰部に毛を残したと考えるのが合理的です。さらに、細菌など外部からの異物をブロックする役割もあり、感染予防においても重要です。
https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20200520-OYTET50013/

おかしいなと思うのは、介護をうけるために陰毛を無くする、という意見である。自分が将来介護を受けることを考え、まえもって無くしておくというのだ。それでは今現在の介護現場で、そのような声が上がっているというのだろうか?陰毛がないほうが介護しやすいから処理しておくべきだという意見が出ているのだろうか??介護職に就く患者さんに聞いてみると、そんな話は聞いたことがない、あんまり関係ないと思う、という意見だ。私も高齢者施設に入所中の患者さんを診察することがあるけれど、同感である。
https://akikowellness.blog/datsumou/


https://www.irasutoya.com/2018/05/blog-post_181.html