インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

行李

職場で、頂き物のお菓子が紙を折って作られたかわいい箱に入っていたので、「まるで行李みたい」と言ったら、「氷?」と話が通じませんでした。そりゃそうだ。いまどき行李を使っている人はほとんどいないでしょうから。

私が小学生くらいの頃まで、家では行李を使っていました。たいがい押し入れに入っていて、衣替えの時期ごとに中身を入れ替えていたものです。現代だったら、衣装ケースとでもいうべきものかしら。

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行李(こうり)は籐みたいな植物の茎で編まれていて、私のうちにあったのは角がキャンバス地の緑色の布で補強されていました。中身が何か書いておけるように、名刺くらいの大きさの紙が入るポケットもついていました。行李を知らない方にどう説明したらいいかなと思ってネットを検索してみたら、そのまんまの写真を見つけました。これです、これ。

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いまでも行李を使っている方は少ないと思いますが、お相撲さんが巡業の時に使う「明荷(あけに)」というのがありますね。改めてネットで見てみると、私の記憶にある行李とはかなり違う、もっとしっかりとした作りのものでした。

ちなみに現代中国語で“行李(xínglǐ)”といえば荷物全般のことを指します。旅行鞄とかトランクなんかも“行李”、もしくは“行李箱”。それで私はずっとなじみのある言葉だったんですけど、中国語業界以外の方に「行李(こうり)」といってもまず通じない時代になったんですね。