インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

知らない単語こそ聞こえる?

先日フィンランド語のオンライン授業で、先生が「単語を覚えてください。そうすればリスニングのときに、知らない単語が浮き上がって聞こえてきます」とおっしゃっていました。

外語学習ではよく「知らない単語は聞き取れない」と言われるのです、先生は「知らない単語こそ聞こえてくる」と言っているわけです。まるで逆のことをおっしゃっているようにも思えますが、その道の達人が言っているのですから何か理屈があるはずです。というわけで考えてみました。

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https://www.irasutoya.com/2018/01/blog-post_262.html

つまりこういうことなのでしょう。単語を覚える、つまり語彙量を増やせば増やすほど聞いて分かる単語も増える。そうすれば、聞いて分からない単語により集中して意識を向けることができるのだと。

幸いな(?)ことに、フィンランド語は発音面では日本語母語話者にとってそれほど難しくはありません。ウムラウトのついた綴りがふたつ(ä / ö)あるけれど、少し練習すれば言うのも聞くのもそこまで難儀しませんし、そのほかはいわゆる「ローマ字読み」でほとんど間に合います。

ふたつの母音が重なった長母音や連母音も母音ベタ押しに馴染んでいる日本語母語話者にはおなじみのものですし、ふたつの子音が重なって促音のようになる音も、少なくとも日本語ではよく出てくるので慣れています。

つまり私たち日本語母語話者にとってフィンランド語の音は、総じて聞き取りやすい部類のものあり、だからこそ分からない・知らない単語でも「ローマ字読み的」に綴りを想起しやすい、だから「知らない単語が浮き上がって聞こえてくる」ということなのでしょう。

しかし言うは易く行うは難し。実際には、教科書などのゆっくりしたスピードのフィンランド語はまだしも、ネイティブ向けの「容赦のない」フィンランド語は、やはりかなり聴き取りが難しいです。引き続き、泥臭く単語を覚えます、はい。