インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

いまから腰をいたわってあげるのです

電車のシートで、浅く座って足を「でれ〜っ」と前に出している方がいます。たいていはお若い方で、車内が混んでいる時など迷惑だなと思うのですが、それ以上に他人事ながら心配になるのが腰です、腰! その座り方は腰に超絶的に悪いのよ〜。ああもう見てらんない。

歳を取って腰痛が慢性化するとQOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)がだだ下がりになって死ぬほどつらいから、お気をつけになったほうがよいですよ……と声をかけたくなるのをいつもガマンしています。どういう座り方かという具体的な写真がないかなあと思っていたら、昨日ネットで「これ!」というのを見つけました。

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広告の内容とぜんぜん関係なくて申し訳ないんですけど、この座り方が腰にはと〜っても悪いのよ。歳を取ってから後悔しないためにも、深く腰かけ、背筋を伸ばし、骨盤を立てて座りましょう。かくいう私も、長時間座っているとこういう姿勢に近づいていくクセがありまして、そのためにいま慢性的な腰痛に悩まされて本当に苦労しています。

骨盤を立てて座るというのは、イメージとしては分かるもののやってみると意外に難しく、ましてやそれを意識しないでも常にできるようになるまでには(個人差もあるでしょうけど)かなり時間がかかります。私の場合は、職場の椅子に敷いた骨盤を立てて座ることができる専用のクッションに始まり、バランスボールを経て、いまはVarier(ヴァリエール)のVariable Balans(バリアブルバランス)という椅子に落ちつきました。この椅子は酔漢さん(id:suikan)さんのお勧めで購入したものです。

加えて、ジムのパーソナルトレーニングで腰痛予防のための体幹レーニングを三年あまり続けて、ようやくひどい腰痛からはほぼ解放されるまでになりました。それでも腰の辺りには常に違和感というか、「いつまた爆発するかもしれない感」が漂っていて、もう若いときのように腰のことなんてまったく意識にのぼらないという日はなくなってしまいました。行住坐臥のすべてにおいて、腰のことを考えながら動かざるを得ないのです。

これが加齢というものでしょうから仕方がないんですけど、もう少し若い頃から腰のことを考えていればよかったと反省しています。私は数十年デスクワークが中心の仕事をしてきましたから、若い頃から座り方をよくよく考えていれば違う展開があったかも……少なくともいまのような状態にはならなかったかもしれません。

デスクワークをされている方は特にお気をつけて。先日も『LIFESPAN』から引用しましたけど、長時間座り続ける暮らしは、とてつもなく身体に悪いという科学的な知見が次々に発表されているそうです。

父は初め生化学者になる教育を受けた。ところがコンピュータにのめり込み、ある病理検査会社でコンピュータ担当者として働いた。当然ながら、画面の前で長時間椅子に座って過ごすことになった。それは、恐ろしく体に悪いと専門家が指摘する生活習慣である。喫煙と同じくらい有害だとする研究者までいるほどだ。(247ページ)

もちろんこれは第一義的には身体を動かすことの少なさが健康に対する大きなリスクになるという意味ですが、その次に来る大きなリスクとして「座り方の悪さ」が腰に与える影響を私は挙げたいと思います。なにせ腰が悪くなると、生活全般にわたって困難がつきまとうのです。ホント、生きていくのがイヤになるくらいに。その意味では身体のみならず心にも少なからず影響を与えるのが腰痛です(腰痛に限らず痛みは何でもそうですが)。

というわけで特にお若い方、「でれ〜っ」と座るのはやめて、いまからよくよく腰をいたわってあげるのです。