副総理の麻生太郎氏が高校の特別授業で講演した際の発言が話題になっていました。この発言自体は昨年のものだそうですが、なぜか今になってまた物議を醸しているんですね。まあこの方の場合、問題のある発言を次から次へと繰り出してきていて、広く疑念の目を向けられるのが常のお方ですから、今になってというより、いつも物議を醸し続けていると言ったほうがいいのかもしれませんけど。
微分積分とか因数分解とか、まあ三角関数でも何でもいいんですけど、そんな社会に出てから一度も使いそうもないものを教えてどうするのかーーこういうことを言う人は本当にあとを絶たなくて、そのたびに私はTwitterなどでつぶやいているんですけど、今回も申し上げておきたいと思います。
これは数学に限りませんけど、そういった学習内容というものは、大人になって使うため「だけ」に学ぶんじゃないんですよ。それらを学ぶことで抽象的・科学的な思考方法を身につけることに意味があるんです。あるいはもっとかみ砕いて言えば(かみ砕かないと麻生氏には分からないかもしれませんから)、知的な営みの習慣をつけるため、教養を育むためと言い換えてもいいです。教養のない人ほど、こういうことを言い出すんですよね。本当に困ったものです。
以前にも橋下徹氏をはじめとする面々が「サインコサインなんてどこで使うの?」などと放言していたという番組を批判したことがありますが、こういう一見実利本位で合理的かつ斬新な意見のように見せかけて、その実できるだけ愚民化を推し進めて自分のやりたいように世の中を持っていきたいと考えている有象無象は多いので、その都度叩いておく必要があります。モグラたたきのようですけど、本当にタチが悪いです、こういう主張をする人たちというのは。