インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

「取り急ぎお礼まで」をめぐって

先日Twitterのタイムラインに、メールの最後を「取り急ぎお礼まで」で締めくくるのは失礼、という趣旨のツイートが流れてきました。それに対して賛否両論もたくさん湧き上がっていたようです。私は少々心穏やかではありませんでした。なぜって、これまで「取り急ぎお礼まで(あるいは「御礼まで」)」とか「取り急ぎご連絡申しあげます」のような締めくくりの言葉をメールに多用してきたからです。

試みにこの十年くらい使っているG-mailで検索をかけてみたら、数百から一千の単位で「取り急ぎ御礼」申し上げておりました(この検索能力もすごいですね)。受け取った仕事のお相手のみなさま方は、そのたびに「なんだ、この人、礼儀を知らないな」と思っていたのかしら、と小心者の私は不安になってしまったというわけです。

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https://www.irasutoya.com/2017/04/blog-post_347.html

その一方で、なぜ自分がこの表現を多用しているのかなとも考えました。Twitterでこの表現を糾弾していた方は「略儀ではございますが、まずはメールにてお礼申し上げます」が正解だと主張していましたが、え〜、それはどうかしら。相手にもよりますが、メールなのに格式張り過ぎているような雰囲気ですし、まずはメールでお礼申し上げ、そののちに手書きの信書を出すつもりでもなければ「略儀ではございますが、まずは」も何もないと思います。

私としては、単に「ありがとうございます」では物足りないので、クライアントに対しては多少かしこまって、でもメールだから簡潔性や即答性を感じさせる(と思っている)「取り急ぎ」を使っていたように思います。でも本当にこれが失礼だと感じる人が大勢いるのであれば、あえて使用にこだわるほどでもないし、リスクは回避して使わないでおくに越したことはないかなと思っていたら、国語辞典編纂者の飯間浩明氏がこんなツイートをされていました。

こうやって権威にすがるのも情けないですけど、なんだか、ほっ。コラムニストの石原壮一郎氏による、デマに惑わされれないように、との指摘もありました。
togetter.com

なるほど、「失礼クリエーター」とは言い得て妙です。かの「江戸しぐさ」にもどこか似ていますが、SNSではこういう言説が次々に登場するものだと心得ておきましょう。そのたびにオタオタしない、と。でもそれに即ツッコミや疑問が呈されるのもまたSNSの良いところなんですけど。