インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

喫煙者を応援しよう

私の勤務場所のひとつは東京の新宿にありまして、朝の通勤時に駅から職場に向かう途中、大通りと並行して走る裏道では毎日こんな光景が見られます。この通りは行政区分上、渋谷区に属していて、区では「屋外の公共の場所では喫煙しない」「たばこは決められた場所のみで吸うことができる」という『渋谷区喫煙ルール』を定めているんですけど、こうした裏通りでは完全に無視されています。

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表通りではさすがに「おおっぴら」には吸えないのでこうして裏通りに、それも「同好の士」が集う場所が自然発生的にできているわけですね。これは今年四月から全面施行になった改正健康増進法の影響で、公共の場所やオフィスなどあらゆる建物や施設からほぼ喫煙所が廃止されたことによるものです。

屋内での喫煙が厳しく制限されている諸外国でも同じような光景が見られます。もちろん屋内でタバコの煙に悩まされなくなったのは素晴らしいことなんですけど、単に法律で一律に禁止しても、こうして受動喫煙の害は残り続けるんですよね。私、ここを通るときには息を止めて走り抜けてますもん。

でも私は、喫煙者のみなさんにもちょっと同情します。タバコに依存している方々にとって、いきなり四月一日から喫煙所が一斉に廃止されちゃっても、はいそうですかと対応できるものではありません。タバコは一種の依存症であり中毒のようなものですから、個人の意思の力で何とかしようと思っても限界があります。

本音を言えば、私は2020年の今になってもまだタバコを吸い続けることの愚かさというか教養のなさに呆れますけど(ごめんなさい)、とはいえ人間はそんなに完璧な存在じゃありません。私だってタバコは吸わないもののいろいろと悪癖はありますから、やめることを習慣化するのが難しいのは承知しています。ましてやタバコは身体的・精神的に依存を引き起こしやすく、やめるためには一種の「治療」が必要なほどの物質ですから、個人の努力だけで事がそううまく運ぶものではありません。

こういうことこそ、国が率先して対策に取り組むべきだと思います。もちろんかつてに比べれば国は数々の対策を打ち、タバコを巡る状況は私から言わせれば夢のように改善しました。なにせ、私が若い頃は、就活をする際に「オフィスが禁煙かどうか」を最重要ポイントとして確かめなければならなかったくらい、屋内での喫煙が野放しだったのですから。公共交通機関だって、ほとんど吸い放題だった時代がつい数十年前まであったんですよ。あの時代から比べれば、それはもう格段に進歩しています。

ここからはさらに、個々人の依存症に対するケアとしての施策が必要だと思います。依存症を治療するための補助や啓蒙教育、広告のさらなる規制など、まだまだできることはたくさんあります。またタバコ農家の作物転換なども。私はそうした施策に自分の納めた税金が活用されるの、賛成です。それは回り回って社会全体の利益につながっていくと思うからです。これからは喫煙者をこそ応援しなきゃいけない。

脱タバコの趨勢は今後も続くでしょうし、私たちが他人のタバコの煙に悩まされなくなる度合いは今後も強まっていく、つまりよい方向に向かっていくと楽観していますが、地域や施設における受動喫煙防止というベースができたいま、今度は個々人のケアに力を入れていくべきだと思います。