インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

バーミキュラのフライパン・その後

今年の6月頃にバーミキュラのフライパンを買い、使い続けてきました。蓄熱性が高く、水分の蒸発スピードが速いという鋳物製琺瑯仕上げの特徴を生かしたこのフライパン、確かに炒めものなど水っぽくならずパリッと仕上がります。またステーキやハンバーグなどもかなり美味しくできるのですが、失敗と成功をくり返してなかなか安定しないのが焼餃子でした。

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焼餃子はフライパンへのこびりつきが最大の問題で、火加減よりも水加減よりも「テフロン加減」が一番大切、ということで以前はテフロン加工のフライパンで一度も失敗することなく餃子を焼いてきました。でもバーミキュラのフライパンで焼くとかなりパリッと仕上がるので、美味しさが全く違うんですね。市販の皮でも弾力がかなりあって「口福」感を味わえるというか。

ただ、テフロン加工のフライパンと違って、火加減と水加減がけっこう難しいです。最初に焼いたときは普段どおりの手順でやって、盛大にこびりつかせました。泣きそう。それでフライパンについているレシピブックを熟読してその通り忠実にやってみたら、一度だけかなり美味しくできました。最初から取説類はちゃんと読めということですか。ところがその後はうまく行ったり行かなかったり。ちょっと頭にきて、しばらくこのフライパンを使わないでいたこともありました。

たぶん同じような声が多く届いているのでしょう、バーミキュラYouTube公式チャンネルに、焼餃子のコツを詳細に紹介した動画が上がっていました。レシピブックと同じ手順ですけど、もっと細かい注意ポイントが解説されています。


【公式】バーミキュラ専属シェフが教える!絶対に失敗しない「羽根つき焼き餃子」の焼き方(バーミキュラ フライパン)

まずふつうのフライパン、特にテフロン加工のフライパンで焼くときとの大きな違いは、蒸し焼きにするときの水の量です。テフロンだとこびりつきを気にせず餃子の3分の1くらいの高さまでお湯をジャーっと注いで盛大に蒸し焼きしますが、バーミキュラフライパンの場合は大匙2杯くらいしか水を入れないのです。そのかわり極弱火でジリジリと焼く。とにかく水の量が少ないのでちょっと不安になるくらいなのですが、ここで「もう少し多めに」と日和ると、絶対に失敗するということが分かってきました。

動画の説明を自分の備忘録的にまとめると、こうなります。

①基本の強火(フライパンの底面4分の3くらいに火が当たる程度)で30秒間予熱。
②油を入れ、全体になじませ、さらに1分間予熱。煙がゆらゆら立ってくる。
③いったん火を止め、煙がほとんど見えなくなるまで待つ。
④火を消したまま餃子を並べる(最大でも15個程度)。
⑤極弱火(フライパンの底面に火が当たらない程度)で火をつける。
⑥2分間加熱して焼き目をつける。
⑦大匙2杯の水(あるいはプラス小麦粉)を鍋肌から回しかけて蓋をする。
⑧極弱火のまま5分間加熱する。
⑨蓋をとって水分がなくなるまで3分間加熱する。
⑩大匙1杯のごま油を鍋肌から回しかける。
⑪中火(フライパンの底面2分の1に火が当たる程度)にして1分間加熱する。

これで上手に焼けました! また泣きそう。

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……しかし、ですよ。

餃子を15個焼くのに、予熱から含めて14〜15分くらいかかるんですよね、この手順だと。そりゃまあ間違いなく美味しい餃子が焼けるので、そこに不満はないんですけど、家族が多い家庭だったらこんなサイクルで何度も焼いてらんないですよね。15個の餃子なんてあっという間になくなってしまいます。かと言って、正直かなりお高いこのフライパンを2つも3つも買い揃えるなんて非現実的ですし。

とにもかくにも、バーミキュラのフライパンは細やかな火加減への気遣いと、それにともなう調理時間の増加が不可避なように思います。こうなると「手早くちゃちゃっとたくさん」作りたい人にはあまり向かないのかもしれません。私の苦手な、あの「男のホビー」的クッキングの香りもいたしますね。もしくは一人暮らしとか、二人暮らし程度までだったら重宝する調理器具と言えるのかもしれません。