インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

留学生のオンライン授業環境

今週は在校生と新入生、それぞれのクラスでZoomを使って「ホームルーム」を開いてみました。うちは専門学校の二年制専門課程なので、在校生(二年生)2クラス、新入生(一年生)2クラスの合計4クラスがあるので、時間を分けて都合四回開きました。学生は全員外国人留学生で、中にはまだ来日できていないとか、帰省したまま再入国できないとかで、海外から参加した人も何人かいます。

事前に調査をして分かっていたことではあったのですが、やはり学生によっては通信環境が悪く、Wi-Fiが繋がりにくいとか通信速度が遅いとかで、映像が見られなかったり音声が途切れたりと、かなりストレスフルでした。中にはシェアハウスなのでルームメイトが在宅勤務のためにネット環境を独占せざるを得ず参加をあきらめた人とか、どうしてもスマホやパソコンの音声設定ができずに終始声さえも聞こえずじまいで、文字によるチャットに頼らざるを得なかった人などがいました。

その一方でまだ中国(中華人民共和国)にいるんだけれども“VPN(Virtual Private Network)”を使って「壁超え」してきた人や、9時間も時差があるなか早起きして参加してきた人など、自発的に問題を解決しようとする人も多くいました。ただ総じて感じたのは、特に日本にいる留学生は、やはりこの新型コロナウイルス感染症の影響をかなり深刻に受けているなあということでした。

中には入国制限ギリギリで日本に入れたものの、その後社会全体の動きが止まってしまったおかげで、アルバイトもできない、学校の授業も始まらない、周りに知り合いもいないという留学生もいます。自分が外国に留学して、初手からそんな状況に置かれたらかなり不安を感じますよね。予想していたことではありますが、実際にZoomで会話をしてみて、そういう不安が切実に伝わってきました。

私は新学期が始まる前から学校側に、こうした留学生の支援をしてほしいと要望してきました。特にオンライン授業(遠隔授業)を行うなら、最低限のインフラ環境は必須で、例えば通信費の補助をするとか、学校のノートパソコンを貸し出すとか、あるいは人数や日時を限定して学校のパソコン教室を使ってもらうとか、そういったところにお金や学校のリソースを割けないのかと。

しかし学校側の回答はいずれも「現状では無理」でした。うちの学校は系列の大学などを含めてかなり規模が大きく、全校で思い切った施策を取るのはいつも後手に回る傾向があるのですが、日本人学生への支援もさることながら、特に不安を抱えている留学生に対してはもう少しフレキシブルな対応が取れないのだろうかと思います。

昨日の段階では「留学生にも特別定額給付金の10万円が出るから」とか「通信各社が25歳以下の学生に対してはデータ通信量のサポートをしているから」という回答があったのですが、来日まもない新入生には特別学給付金は出ません*1し、うちは専門学校なので大学や大学院を卒業してから来る留学生も多く、25歳以上の人もかなり多いのです。

私はこういうときこそ思い切った施策を取って、手厚い支援をすることが後々の評判にもつながる(あの学校は留学生にやさしいという。留学生のコミュニティではこうした「口コミ」はかなり大きな力を持っています)と思うのですが、それは一介のヒラ教員の意見であって、経営側の考えはまた違うようです。

それでも来週からは本格的にオンライン授業が始まります。しかも六月以降もこの状況はしばらく続いていきそうな気配です。学校側にはこれからも働きかけていくのと同時に、自分たちでも何かできないか考え続けようと思っています。

f:id:QianChong:20200509090829p:plain
https://www.irasutoya.com/2016/05/wi-fi_77.html

*1:受け取りには銀行口座が必要ですが、長期滞在ビザ(90日以上)を持っていても日本での滞在期間が半年未満の場合、銀行口座開設ができません。ゆうちょ銀行は例外ですが、日本滞在半年未満の場合は入出金の貯金機能のみ利用可能とのことです。