インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

学生さんの「不満」をめぐって

きのう偶然Twitterで拝見したこちらのツイート。新型コロナウイルス感染症の拡大で学校教育が大幅な予定変更、あるいは停止状態に追い込まれている中で、学生さん側の不安と不満がよく分かるつぶやきでした。教職員もてんてこ舞いだけど、学生さんも混乱の中にあるのです。

https://twitter.com/Noaw_recorder/status/1253228155323613184?s=20

うちの職場でもオンライン授業(遠隔授業)の実施に向けて日々準備が続いており、その一部はすでに開始しています。が、教員側もトライ・アンド・エラーを繰り返しながらの緊急発進ですし、本来行われるはずだった授業内容からすればある程度の「目減り」は否めません(対面授業と遠隔授業をひとしなみに比べるのも無理がありますが)。私が学生さんの立場だったら「授業料を払っているのに、なんだよ〜」と、やはり不満を持つと思います。

私は学校の上司に、こういう状況が長期化した場合、学費の減免とか返還などを考えるつもりはありますかと聞いてみたのですが、いまのところは考えていないという回答でした。というか、学校側だっていまのこの段階でその質問に答えろと言われても、長期的な予測がまったく立たない現状では答えようがないですよね。私も聞いてから「ちょっと時期尚早な質問だったかな」と反省しています。

ただ、それはそれとして学生さんの不安や不満はあり、今のような状態が長引けば長引くほど上掲のような選択をする学生さんも増えるでしょう。とはいえ私たちの学校の場合は留学生で、留学ビザとの関係もありますからそう簡単ではないのが悩ましいところです。

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https://www.irasutoya.com/2017/02/blog-post_284.html

……と、これも昨日ですが、東京新聞朝刊の読者投稿欄で、大学の遠隔授業への不満について同じく芸術系の大学に通ってらっしゃる(しかも同じ三年生!)という学生さんの意見を拝見しました。一瞬同じ方かなと思いましたが、違うようです。偶然とはいえ、こんなこともあるんですね。

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若い方々にここまで嫌気を起こさせてしまうこの国のありように胸ふたぐ思いですが、おっしゃっていることは至極まっとうなご意見です。多くの人々が国の対応を批判し、不満の声を上げ、「権利」を主張するなか、「難しいことは分からない、私には関係ない、そう言って選挙にすら行かなかった人たちは今、何を感じているのだろう」という言葉に、耳が痛い方は多いんじゃないでしょうか。

そしてまた「大学をサボっていた人たち、授業中にスマホをいじったり居眠りしたりしていた人たちが、どうして『学ぶ権利』を主張するのだろうか」という言葉も。ネットで散見した大学で教育に携わっている方々のご意見には、「大学は元々自学自習が基本であり、対面授業がなくなってもその意義は変わらない」といったものもありました。

私は大学の研究者でもないので同じような主張をする気はありませんし、その資格もないと思います。それでも「学びの本質」というものを考えた時に、確かに「学費に見合ったサービス」をという概念で遠隔授業のお膳立てでてんてこ舞いしているのはなにか根本的に間違っているのかもしれないと思いました。感染症との戦いがまだ始まったばかりの今言っても詮無いことですが、明らかに学費に見合っていないのに、アリバイ的な遠隔授業でお茶を濁すのはやはり辛いのです。

「かつてあった現状」を維持するのではなく、「いまここにある現状」から発想するしかない。今次の感染症は、教育のありようについても大きな課題を突きつけてきたと思います。「withコロナ」から「afterコロナ」になった時、私たちは「学び」についてこれまでとはかなり違った側面から考える視点を持てるようになっているといいのですが。あと、今度こそみなさん、選挙に行きましょうね。