インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

オンライン授業をどうする?(その4)

メインで勤務している学校では、遅ればせながら5月からオンライン授業(遠隔授業)を本格的にスタートさせることになり、同僚の教員と毎日ネットで会議を開いて準備を進めています。学校によってはもうこの4月から稼働させているところもあるよし。うちの学校の、というより私たちの初動の遅さに反省することしきりです。

オンライン授業と言っても、通常の授業を何もかも再現できるわけではありません。というか、通常の授業からかなり目減りした内容(コンテンツ)にならざるを得ない。さらに言えば、通常の授業をベースにして、そこを基準にしてオンライン授業を考えても、なかなか埒が明かないということも分かってきました。こういう時に、先行して実践を続けておられる方々の発信には本当に助けられます。一時期どっぷり浸かって、そののち「断捨離」的に遠ざけていたSNSをまた使い始めたのも、そうした発信に対してアンテナを張ろうと思ったからです。

でもそれは自分がなにがしかの情報を得たいがための利己的な行動ですよね。SNSは、受信もするけど発信もしてこそその真価を発揮するのだと思います。というわけでこうして、少しでも利他的な情報発信になればと思ってブログを書いたり、それをSNSで発信したりしているわけです。いまのところあまり人の役に立つような情報は手元にないんですけど……。

ともあれ、同僚と準備を進めていて一番大きな課題だなと感じているのは、ネット環境、とりわけ学生さんのネット環境です。いくらこちらが趣向を凝らしてオンライン授業の内容を準備したとしても、それを受け取り、反応を返してくる学生さんのネット環境が充実していなければ、どうにもなりません。うちの場合は全員留学生ですが、パソコンを持っておらずスマホだけの人、Wi-Fi環境が脆弱な人、帰省したまま中国に留め置かれてGoogle系のネットサービスが使えない人(“翻牆(壁超え)”でなんとかなるけど、不安定さは否めません)、さまざまなボトルネックがあります。

オンライン授業にしても、Zoomをはじめとしたテレビ会議システムには簡便な録画機能もあって、画面共有を使いながらパワポやpdfの資料を提示しつつ話すといった講義形式のものならけっこう手軽に作れます。それにLMS(Learning Management System)――うちの場合はGoogle Classroom――やメールでのやり取りを使った課題(ワークシートなど)発出と回収、フィードバックなどを組み合わせれば、なんとか授業の体は成せそう。というわけで、すでにいくつかそうしたコンテンツも作りました。

でもあまりたくさんの動画やら画像やら資料やらを駆使してしまうと、学生さんの側にはいわゆる「パケ死」や「ギガ死」が起こりそうです。というか、毎日テレビ会議やってる私たち教員だって、自分ちの通信量の上限が心配なくらい。しかもその通信に使っているリソースは、個人のパソコンやスマホを含めてすべて持ち出し、手弁当なんですよね。学生さんも私たちも。これって学校側から提供するなり料金を補填するなりしてほしいなあと思って、学校側に掛け合ってみたんですけど、「いまのところは考えていない」という回答でした。

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https://www.irasutoya.com/2018/01/blog-post_65.html

でもこれ、オンライン授業を本格的にスタートさせるなら、少なくとも学生さんには何らかの援助をしてほしいと思います。だって、今回のような感染症の蔓延はほとんど天災と同じような不可抗力ではありますけど、本来学校での授業ができなくなって、それをオンラインで代替しようとする以上、学校側は学習環境を整備する必要がありますよね。通常の授業だったら教室や机や椅子や、電灯や水道や冷暖房や、プロジェクターやスクリーンやホワイトボードや、CALL教室や図書館や……さまざまな施設を使える。それが使えないのですから、その代わりになるもの(すべてではもちろんないものの)を補填するのは当然だと思うんです。だって学費の他に施設費なんかも徴収しているんですから。

まあ、学校側も今回の事態を受けてあれこれの対応でてんてこ舞いなんでしょう。それは分かります。でも新聞などの報道によれば、学校(主に大学ですが)によっては、学生にこうした学習環境面での支援をするために一律何万円という形で支援を決めたところもあるそうです。うちの場合はまだ海外にいる(入学のための来日すら困難)という人もいるので簡単ではないですが、前向きに検討してほしいと思います。これからも働きかけて行くつもりです。