インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

二年前、あのまま行ってたら死んでた。

言霊(ことだま)ってこともあるんだから、あんまり言わないでよ、と周囲にはたしなめられるのですが、毎日がしんどくてしんどくて、といっても精神的にではなく肉体的に不調が続いていた二年前、あのまま一念発起して「身体を動かそう!」と思わなければ、本当に死んでいたと思います。二年間、体幹中心のパーソナルトレーニングを最低でも週に二日、さらにこの春からは「朝活」としてのジム通いを週に五日続けてきた上での実感です。

そんなにジムに通い詰めていたら、筋骨隆々のマッチョになっちゃうんじゃないの、アンタ一体どこを目指してんの……と言われそうですが、相変わらずのユニクロが似合う中肉中背です。でもどこを目指しているのかと聞かれれば即答できます。毎度申し上げていることではありますが、健康です。「健康になりたい。健康じゃなきゃ、死ぬ」と。

怪しげな食品やサプリも、不自然なアンチエイジングも、ましてや回春や精力増強なんかとも無縁の健康。ただただ、ごく普通に健康であること、健康に暮らす体力を保つことが目的です。健康を損ない、体力が失われることが、いかにQOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)を下げるのか、二年前のあの不定愁訴の嵐で痛いほどよく分かりました。

そう考えている方は多いようです。昨今は、私のような中高年のジム通いや筋トレが流行になっているのだとか。先週号の『週刊エコノミスト』でも「ビジネスマンがはまる筋力トレーニング」という特集が組まれていましたけど、Amazonに行って「中高年 筋トレ」などで検索をかけてみれば驚くほどたくさんの筋トレ関連書籍が見つかります。

数年前から「仕事ができる人」は筋トレをしている系の本が目につくようになりましたが、現在ではその主語が「中高年」や「40代、50代、60代」にシフトしてきているような印象が。『還暦筋トレ』とか『60(カンレキ)すぎたら本気で筋トレ!』などという本までありました。なんだかもう「年寄りの冷や水」って言葉が死語になりそうな勢いです(とっくに死語ですか?)。

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週刊エコノミスト 2019年10月15日号 [雑誌]

週刊エコノミストの記事によれば、中高年の筋トレが流行している理由は「筋肉はウソをつかない」からだとか。身体の衰えを実感し始め、「プライベートの生活も含めてどんなに努力しても思い通りにいかないことも増えて」くる中で、「筋トレは正しいやり方をすれば必ず目に見える成果をもたらす」ために「自己達成感にもつながりやすい」と。

世のビジネスパーソンはどんだけ心身ともに疲れてるんですかという感じですが、まあ私だって続けている理由は大体そのへんかな、と思います。中高年になっても、正しいやり方(これ、非常に大事です。また稿を改めて書きたいと思います)で筋トレをすれば、ちゃんとウェイトの数字が伸びていく上に、痩せるなり筋肉がつくなりの「おまけ」までついてくる。これがけっこうシンプルに嬉しいんです。

上述の記事には、そうしたポジティブな理由のほかに「足腰が衰えた両親が日常生活に支障を来している姿を目の当たりにして、『歩けなくなったら大変』という不安がジム通いにつながっている」というちょっと身につまされるような理由もありました。でもこれも要するにQOLの問題なんですね。ラジオ体操でもジョギングでもウォーキングでもいいんでしょうけど、頻繁に長時間やらなくてもそれなりに結果が出るというのがまた中高年の筋トレブームを後押ししているんだと思います。