インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

かつての光を失いつつある百貨店

私が子どもの頃、デパート(百貨店)というのはみんなの憧れの場所でした。週末に、家族総出で自家用車に乗り込み、長い駐車場の列をものともせずデパートに繰り出し、ショッピングや食事(大食堂でね)を楽しむ……というレジャー形式(?)があったのです。2019年の今となっては、ちょっと信じられないくらいですが。

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https://www.irasutoya.com/2014/06/blog-post_8636.html

今の私は、デパートで買い物をすることはほとんどありません。服飾関係にしても雑貨や日用品関係にしても価格がお高いし、お高いがゆえにお客さんも少なくて買いにくいし、やたら声をかけられる接客が過剰だし、プラスチックゴミが世界的な問題になっているのにビニール類での包装も過剰だし、そもそも「何でもあるけど自分が欲しいものは何もない」というデパートは、すでに「何でもあって自分が欲しいものも必ず見つかる」ネットショップの好敵手たりえません。

きょうび、ファストファッションでもそこそこの品質ですし、品揃えが桁違いに豊富なネットショップで充分に物欲を満たすことができ、なおかつネットで唯一の難点だった試着ができないとかサイズ違いへの対応などにも、返品自由などいろいろなサービスが登場して、もはやデパートで服や雑貨などを買うメリットはなくなりました。

接客などの丁寧さがデパートの強みかもしれませんが、正直に申し上げてデパートの接客が丁寧で洗練されているとはあまり思えないんです。あまり具体的に書くのも「クレーマー」めくので気が引けますが、高級感をはき違えた慇懃無礼さがなんとも心地悪いですし、店員さんが意外に商品知識がなくてこちらが困惑することも多いです。あるデパートなど試着を申し出たところ、店員さんに「あ、試着室、遠いんで」とにべもなく断られてしまいました。いったい何キロ先に試着室があるのかな。

業界に詳しい知人によると「デパートの店員さんは、その会社のプロパーだけでなく、衣料メーカーからの派遣も多く入っているので、自分のメーカー以外の商品知識が薄かったり、そのデパートの接客品質を共有できていなかったりするのかもしれませんね」とのことでした。なるほど〜。でも客には分からないですよね、そんなこと。

カードを持ってかれるのが恐い

それから、デパートではカードで支払いをすると店員さんがカードを奥のレジまで持って行ってしまうことが多いですよね。あれもものすごく不安になります。お金の出し入れを客に見せないためか、レジは遠くの隠れたところにあって、それがデパートならではの接客だという「思想」なんでしょうけど、決済端末が進化していまやAppleStoreみたいに店員が端末を携帯してレジを廃止しているような時代なのに、いまだに何十年も前のシステムで動いているのは驚異的です。

中国も大昔は全ての商品が対面販売で、店員さんの「“没有”攻撃」を交わしながら何とか物を見つけて支払伝票を書いてもらい、それを別の場所にある“收銀處”(出納窓口)に持って行って支払いを済ませ、支払い済みとハンコを押された伝票を持って売り場に戻ってやっと品物を受け取れる……というシステムでしたが、日本のデパートの会計システムは2019年の現在でもそれに似たようなことをやっているのですね。

それに自分の番号が書かれたクレジットカードがいったん奥に消えるのって、恐くありません? 店員さんを疑うわけじゃないけど、スキミングでも何でもし放題じゃないですか。私は実際に番号を盗まれたことがあるので(デパートでじゃありません。ネット上でです)、正直に申し上げて長時間他人にカードを渡すのは恐いです。

デパートは、すでにその価格に見合うだけの付加価値はないんじゃないかと思います。ただ、唯一デパートの売り場でまだ独自の光を放っているように思えるのは、いわゆる「デパ地下」です。外国人観光客も多く集まっていて活気があり、活気があるから店員さんの表情も明るくイキイキしているように思えます。でもここも例えば「駅ナカ」みたいな売り場がどんどん充実してきているので、将来にわたっても安泰かどうかは分からないですよね。