インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

異形の神たちにひかれる

Charles Frégerという方の『Wilder Mann』という写真集がありまして、これはヨーロッパ各地の祭りに伝わる「異形」の仮装姿を集めたものなんですが、その土俗的な意匠の美しさに思わず引き込まれます。


WILDER MANN (ワイルドマン)

こちらにはCharles Fréger氏のホームページがあって、写真集の一部を見ることができます。

Wilder Mann | Charles Fréger

映画『ヴィレッジ』にも同様の異形が登場していて、あれも……おっと、これはネタバレになるのでこれ以上は書きません。

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これらはまあ、言ってみれば欧州版「なまはげ」みたいなものですか。そういえば先日「なまはげ」など八つの「来訪神」がユネスコ無形文化遺産に登録されたというニュースがありました。あの中では私、宮古島の「パーントゥ」がいちばん「ぐっ」と来ます。『千と千尋の神隠し』に登場した「オクサレ様」を彷彿とさせますよね。

パーントゥ - Wikipedia

こうした異形の存在は、日常の中に突如として現れる不吉で禍々しいものの象徴ですが、人々はそれらと一瞬の邂逅を果たすことで、逆に新たな生命や季節を迎え入れ、厄をはらうというのがなんとも面白いと思います。そういった存在をわざわざ、定期的に暮らしの中に取り込むというのは、人間が人間だけでこの世に生きているのではないということを思い知らせる、つまりは人間の「分際」をわきまえさせるための古代からの知恵ではないかと思うのです。

もっとも、唯物主義の権化みたいなうちの細君にかかると「この人たちは何をバカなことやってんの?」と身も蓋もないコメントをされちゃうのですが……ちょっとちょっと。