語順ではなく、格変化で話すのが特徴的なフィンランド語。どんどん新しい格が出てきて「てんやわんや」になっていますが、さまざまな意味を持つ「出格」について、授業でまとめが行われました。
出格は「〜から出てくる」を表す格で、語尾は「-stA」です。
Minä olen kotoisin Japanista.
私は日本から出てきました=私は日本人です。
出格にはこのほかにもいくつか別の意味があるそうです。といっても日本語母語話者的には別の意味でしょうけど、フィンランド人はきっと統一したイメージみたいなものがあるのかもしれません。
Minä puhun Suomesta.
私はフィンランドについて話します。
「~について」も出格で表現するんですね。
Minä pidän Suomesta.
Minä tykkään Suomesta.
私はフィンランドが好きです。
動詞「pitää」と「tykätä」はともに「好き、好む」という意味です。「rakastaa(愛する)」よりも頻繁に使われるとのこと。人称代名詞による動詞の変化を復習します。
● pitää(取る)
①vA-タイプなので、最後の ä を取って語幹は pitä 。
②最後の音節に「t」があるので変化パターンは「t→d」。ただし三人称は変化させないので……
pidän | pidämme | |
pidät | pidätte | |
pitää | pitävät | ※三人称は変化させない。 |
● tykätä(好む)
①語尾が AtA のタイプなので、真ん中の t を取って語幹は tykää 。
②語幹の最後の音節に k があるので変化パターンに従って「逆転」。つまり「k → kk」となって語幹は tykkää に。
③AtA タイプは三人称単数だけ語尾がつきません。つまり……
tykkään | tykkäämme | |
tykkäät | tykkäätte | |
tykkää | tykkäävät | ※三人称単数は語幹のまま。 |
もうひとつ、出格が文頭の人を表す言葉につくと、「誰それの考えでは~」という意味になるそうです。
Minusta tämä on hirveän kivaa.
私はこれはものすごく素敵だと思います。
まとめると出格「-stA」には、①~から出てくる、②~について、③~が好き、④誰それの考えでは~、があるということですね(いまのところ。この先にまだ何か別の意味が出てきそうな気がします)。
「mikä(何)」の出格は「mistä」ですが、この疑問詞を使っていろいろ言えそうです。
Mistä sinä olet kotoisin?
あなたはどこの出身ですか?
Mistä sinä pidät?
あなたは何が好きですか?
Mistä sinä puhut?
あなたは何について話しますか?
さらに、動詞「pitää」「tykätä」は目的語に出格を要請するので、例えば「tämä punainen laukku(この赤いバッグ)」といった表現が目的語に来た場合、全部出格に変えなければいけないんですね。あああ。
Minä tykkään tästä punaisesta laukusta.
私はこの赤いバッグが好きです。
Minä pidän tästä suomalaisesta elokuvasta.
私はこのフィンランド映画が好きです。
さらにさらに、出格を要請するのは「pitää」「tykätä」で、同じような意味の「rakastaa(愛する)」は通常通り分格を要請するという点も注意するようにと言われました。
Minä pidän Pekasta.
私はペッカが好きです。
Minä rakastan Pekkaa.
私はペッカを愛しています。
「Pekka(男性の名前)」さえ、動詞によってその形が変わると。これ、私の名前だったら「Tokuhisa(トクヒサ)」が「Tokuhisasta(トクヒサスタ)」とか「Tokuhisaa(トクヒサー)」になるということですよね。う~ん、面白いです。
Minä tykkään tästä jälkiruoasta.