芹壁村はあちこちにスローガンがありました。中国大陸に肉薄している場所としての、かつての緊張感が静かに伝わって来るような気がします。
“發揚媽祖精神”。馬祖精神を発揮しよう。
“軍民合作”。軍と民間は力を合わせよう。
“光𣸪(光復)大陸”。大陸を解放しよう。さんずいに“复”は“復”の異体字だそうです。
これも同じようなスローガン。“解放大陸同胞”。
“檢肅匪諜”。裏切り者やスパイ、あるいは中国との密通者を厳しく取り締まろう、といった意味ですね。
……と思えば、こんな「瑞獣」のレリーフも。映画『ルパン三世 カリオストロの城』に出てきた「光と影を結び時告ぐる高き山羊の陽に向かいし眼に我を納めよ」を思い出しました。
“爭取最後勝利”。最後の勝利を勝ち取ろう。これも“後”の字がさんずいになっています。
“蔣總統萬歲”。蒋(介石)総統(大統領)万歳。中国でも毛沢東さんを“萬歲,萬歲,萬萬歲”などと持ち上げていましたけど、どちらも同じようなことやってるんですね。
“消滅朱毛漢奸”。漢奸(売国奴)朱(徳)と毛(沢東)を殲滅せよ。名指しです。後に主席となった毛沢東が朱徳の次に書かれているので、国共内戦時の1930年代のスローガンでしょうか。
歩き疲れたので、集落の比較的高い場所にある小さな食堂で、名物らしい「老酒麵線」を食べました。ほんの少しお酒の香りがするスープで、とてもあっさりしています。真ん中に“荷包蛋(ポーチドエッグ、というかこれは目玉焼きに近いですね)”が乗っていて、赤いのは馬祖特有の調味料・紅麹で炒めた肉、だったと思います。