コペンハーゲンの「デザインミュージアム・デンマーク」は世界的に評価の高いデンマークのプロダクトデザインを中心に展示している美術館です。先日訪れた際には、ちょうど日本のデザイン(ただし現代のものよりも浮世絵や民芸など近代以前のデザインにより高い比重がかけられていたようですが)特集も行われていました。
こちらの美術館の目玉でもある、デンマークデザインの椅子がずらっと並んだ展示も見ごたえがありましたが……
いちばん心ひかれたのは、この椅子でした。フィン・ユールがデザインした「ペリカンチェア」。休憩用に置かれていて、実際に座ることができます。天使の羽のようにも、あるいは犬の耳のようにも見える背もたれがかわいいですよね。
実際に座ってみたのは初めてだったのですが、その座り心地のよさにびっくりしました。背もたれに配されたボタンも、大胆でモダンな形状のこの椅子に、どことなくクラシカルな印象を与えています。これは……欲しい。突然、まるでペリカンが丸呑みするような怒濤の物欲に駆られてしまいました。
日本に戻ってからネットで検索してみましたら、この椅子は意匠権の期間が過ぎている(なんと1940年にデザインされたそう)ため、「リプロダクト(ジェネリック)製品」が売られていました。お値段10万円ちょっと。う〜ん、やっぱり高いですし、オリジナルと比べると形が全然違うやん。以前イームズの「DSW」という椅子のリプロダクト製品を購入したことがあるのですが、すでに持っていたオリジナルと比べると出来映えは雲泥の相違で(まあ値段からいっても当たり前なんですけど)、後悔したことがあるのです。
オリジナルはおいくらくらいなのかしら……とさらにネットを検索してみましたら、でました、こちら。
972000円? ばばばか言っちゃいけません。中古の自動車が買えるじゃないですか。これはうちには無理です(もとより狭い家のどこに置くんだというハナシですし)。
とはいえ、ペリカン的な物欲は容易には収まらず、さらにネットでの検索を続けていましたら、アメリカのこのサイトでも通販されていました。いまはもう何でも通販しているんですね。
Finn Juhl Pelican Chair w/ Buttonswww.danishdesignstore.com
6048ドル……ということは約64万円。日本のサイトで買うよりずいぶんお安いです(送料はけっこうかかるでしょうけど)。しかも椅子に張るレザーやファブリックを細かく指定することもできます。う〜ん、毎月お小遣いをためて、何年か後に買っちゃおうかしら。あるいはローンで。いやいや、どこに置くんだ、いやいや、人生は一度きりだから……とペリカンの毒にまだ浮かされています。