インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

先生と呼ばれるほどの……

  お城があって市電の走る街にやってきた。
  今回はとある製品の査察官にくっついて通訳をしている。査察だから、その結果として合格・不合格がある。査察官はいわば生殺与奪の権利を握っているわけで、いきおい迎える日本側はかなりな低姿勢に。それは分かるのだが、くっついている私にまで低姿勢になる必要はまったくないんだけどなあ。
  査察官と一緒に応接間のふかふかソファに案内されたりするから、「いえ、私はここで……」と事務所のパイプ椅子に陣取る。ましてや、「通訳の先生」などと呼ばれるなんぞ、まっぴらごめんだ。普段は通訳者の地位の低さに憤慨しているくせに、いざとなると小物ぶり(?)を遺憾なく発揮。