インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

フィンランド語

フィンランド語 155 …日文芬訳の練習・その69

田舎に住んでいたころ、農業をやっていました。海辺の街でしたので、ときどき漁師のお手伝いにも行っていました。農業と漁業はまったく違う種類の仕事だと思います。農業は100の種をまいても100の収穫がベストで、1000の収穫はありえません。一方漁業はその…

フィンランド語 154 …日文芬訳の練習・その68

先日新聞に興味深い記事が載っていました。ほんの数分の電車の遅れにも謝罪する日本の習慣が、一部の乗客に過度な権利意識を与え、カスタマーハラスメントを助長させているのではないかというものです。私がふだん使っている東急線では、いつもこんなアナウ…

問題集やドリルを習慣化する

日々仕事や家事に追われていて、平日はまとまった勉強や読書の時間が取れない……ずっとそんな悩みを抱えています。仕事も家事もできるだけ効率化しようとしているものの、一日があっという間に過ぎてしまい、「ああ、今日もろくな勉強ができなかった」と悔し…

フィンランド語 153 …日文芬訳の練習・その67

二年ほど前まで、音楽配信サービスのSpotifyを使っていました。さまざまな曲が聞けてとても楽しかったのですが、だんだん違和感を覚えるようになり、ついに退会してしまいました。Spotifyで音楽を聞いていると、気に入らない曲はクリックひとつでどんどん聞…

フィンランド語 152 …日文芬訳の練習・その66

先日、都内の交差点で信号待ちをしていたら、目の前にいたスーツ姿の男性が爪を切っていました。青信号になると、男性は爪切りの中の爪を地面に捨てて、そのまま歩いて行ったので驚きました。米国人の配偶者がいる同僚によると、欧米では人前で爪を切ること…

フィンランド語 151 …日文芬訳の練習・その65

子供の頃、小学校には石炭置き場がありました。教室のストーブで石炭を使っていたからです。当時の生徒はアルミ製のお弁当を持ってきて、それをストーブの上に置いて温めていました。現在では多くの国が二酸化炭素の排出量を削減しようとしているので、石炭…

フィンランド語 150 …日文芬訳の練習・その64

レベッカ・ソルニットの『ウォークス』という本を読んでいたら、トレッドミル(ランニングマシン)をギリシャ神話の「シーシュポス」になぞらえている文章がありました。確かにいくら走っても前に進まないトレッドミルは、あの苦行に似ています。ジムにはほ…

フィンランド語 149 …日文芬訳の練習・その63

先日同僚と話していて驚いたのは、Netflixなどのドラマを「早送りで見る」ということでした。早くドラマの展開が知りたいからだそうです。私も情報系のYouTube動画は早送りすることがありますが、ドラマや映画などではやったことがありませんでした。そう考…

フィンランド語 148 …日文芬訳の練習・その62

元日は「初詣」に行きました。これは年の初めにお寺や神社に行くことです。私はいつも自宅から一番近いお寺に行っています。ここは招き猫の伝説で有名です。昔々、ある殿様がお寺の門前を通りかかると猫が中に入るよう手招きしました。すると突然雷雨になり…

フィンランド語 147 …まだ初級

先日、今年最後のフィンランド語講座に出てきました。オンラインでの授業です。コロナ禍に突入してからこちら、ずっとオンラインなんですけど、考えてみればフィンランド語を学びはじめた頃はカルチャーセンターの小さな教室で、肩寄せ合うような少人数のク…

フィンランド語 146 …日文芬訳の練習・その61

先週外出中に眼鏡をなくしました。つねにかけているはずの眼鏡をなぜなくしたかというと、最近は老眼鏡を使う時間のほうが圧倒的に長くなったからです。立ち寄った場所すべてに問い合わせてみたら、とあるコワーキングスペースで見つかりました。最近はこう…

フィンランド語 145 …日文芬訳の練習・その60

先日雨の日の仕事帰りで電車に乗っていたら、高校生の男の子に席を譲られました。次の駅で降りる予定だったので「ありがとうございます。大丈夫です」と言ったのですが、とても新鮮な体験でした。だって、生まれて初めて電車で席を譲られたんですから。その…

フィンランド語 144 …日文芬訳の練習・その59

学生の頃から村上春樹氏の小説『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』が好きで、海外に出かけた際には書店で各言語版を買い求めるのがささやかな趣味です。フィンランド語版はヘルシンキ駅の売店で見つけました。先日この小説を約十年ぶりに再読し…

フィンランド語 143 …口語ことはじめ

二冊目の教科書の最後に、フィンランド語の口語に関する初歩的な解説が載っていました。これまで延々文法を学んできて、最後に「でも実際に話されるときにはまた別の形があるんですよね」と奈落の底に突き落とすような感じ、嫌いじゃないです。人間の話す言…

フィンランド語 142 …日文芬訳の練習・その58

中国人留学生を観察していると、日本語の長音や促音が苦手なことに気づきます。中国語にはそのような音がないので、例えば「コピー」を「コピ」、「切手」を「きて」と話したり書いたりします。私は以前フィンランド人と話したときに、何人かから「発音がい…

フィンランド語 141 …第五不定詞

新しい文法事項として「第五不定詞」というのが出てきました。これは動詞の語幹に“mAisillA”がついたものに、さらに所有接尾辞(ni, si, An, mme, nne, An)がついたもので、「〜しそうになる」「〜しかける」「まさに〜しようとしている」といったような意…

「すごみ」を感じる教科書

ほそぼそと続けているフィンランド語の学習は、とうとうほとんどの文法事項が出そろい、二冊目の教科書も終盤に近づきました。最終章の直前では、教科書の「本文」が教科書編纂者からのメッセージのような形になっていて、よくここまで頑張って学んできまし…

フィンランド語 139 …日文芬訳の練習・その57

急に寒くなってきたので、薄手のダウンジャケットを買いました。試着して購入を決めたら、店員さんに「このままのお渡しになりますが、よろしいですか」と聞かれました。「かまいません」と答えたら、店員さんはダウンジャケットをくるくると丸めてフードに…

フィンランド語 138 …欠格

基本的に書き言葉にしか現れない(文章を音読している時などを除いて)「具格」「共格」と学んできて、新たに「欠格」を学びました。これで15種類(単複合わせて30種類)の格がすべて出てきたことになります。欠格はその名の通り「~なしで」を表す格ですが…

フィンランド語 137 …日文芬訳の練習・その56

とある日本語学校の先生と話をしていて「中国人留学生がよく舌打ちするんだけど」という話題になりました。日本人にとって舌打ちは「不満」や「不快」を表すサインですから、かなりインパクトがあります。でも中国人にとっては、ほとんど言葉の息継ぎや句読…

村上春樹氏の『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』をめぐる「10年で変わったこと・変わらなかったこと」

加藤典洋氏の評論集『村上春樹の世界』を読んだので、『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』を再読しました。確かこの前読んだのは東日本大震災の年だったと覚えているので、ちょうど10年ぶりで読み返したことになります。この小説を最初に読んだ…

フィンランド語 136 …日文芬訳の練習・その55

机の引き出しを掃除していたら、かつて使っていた銀行のキャッシュカードが出てきました。すでにネット銀行しか使わなくなっているので、とても懐かしい感じがしました。もう長い間、キャッシュカードはもちろん通帳も持っていません。ATMに並ぶこともなくな…

知らない単語こそ聞こえる?

先日フィンランド語のオンライン授業で、先生が「単語を覚えてください。そうすればリスニングのときに、知らない単語が浮き上がって聞こえてきます」とおっしゃっていました。外語学習ではよく「知らない単語は聞き取れない」と言われるのです、先生は「知…

フィンランド語 135 …日文芬訳の練習・その54

この映画は「水俣ではなくセルビアやモンテネグロで撮影が行われた」という部分を、最初は“tätä elokuvaa ei otettu Minamatassa, vaan Serbiassa ja Montenegrossa”としていたのですが、「どこどこで映画を撮る」の「どこどこで」は、フィンランド語的には…

フィンランド語 134 …日文芬訳の練習・その53

「エッセイであり、紀行文であり、比較文化論でもあり」という部分を最初、“Se ei ole vain essee ja matkakertomus, vaan myös vertaileva tutkimus kulttuureista”(それはただエッセイや紀行文ではなく、また比較文化論でもある)と書いたのですが、“pelk…

フィンランド語 133 …三人称命令形

新しい文法項目として、三人称の命令形が出てきました。これまでには二人称の命令形を学んでいます。「命令」するときは、まず多くの場合、向かい合っている「あなた(単数)/あなたたち(複数)」に対して行うわけで、だから二人称なんですね。例えば“luke…

フィンランド語 132 …日文芬訳の練習・その52

「Zoomで」というのを最初“Zoomissa”と内格にしていたのですが、これは「道具・手段の llA」ということで“Zoomilla”に直されました。また「地震がない国」は“maa ei tärise(揺れない国)”という言い方もあるとのこと。“täristä”が「揺れる」という動詞です…

清少納言を求めて、フィンランドから京都へ

いわゆる「アラフォーシングル」のミア・カンキマキ(Mia Kankimäki)氏が清少納言に魅せられ、休職して京都へ研究に赴く……というより安宿に「転がり込む」ようにして京都にやってきます。エッセイであり、紀行文であり、ご自身がフィンランド人であるだけに…

フィンランド語 131 …日文芬訳の練習・その51

「ネット動画を見た」というのを、最初“katsoin videota verkossa”としていたら、内格の“verkossa(ネットで)”を出格の“verkosta(ネットから)”に直されました。“katsoa(見る)”は「〜から見る」なんですね。こういうふうに、どの動詞がどの格を取るのか…

話し言葉で起こる省略

先日、ポストにこんなチラシが入っていました。近所にある24時間制ジムの広告です。コピーは「やっぱジム行こ」。ジムに通うということについて、そんな一大決心なんていらないんですよ、「ちょっとやってみようかな」程度の軽いノリで始めてみませんか……と…