インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

2022-09-01から1ヶ月間の記事一覧

日本人と話すのが億劫?

職場の学校では、今年の4月に入学してきた留学生クラスの前期カリキュラムが終わり、期末試験が行われました。私が担当しているのは主に中国語母語話者の留学生で、中国語から日本語への通訳試験などを行いました。試験はさまざまな語彙のクイックレスポン…

共話と会話どろぼう

ドミニク・チェン氏の『未来をつくる言葉』を読んでいたら、「共話と対話」と題された一節にこんな興味ぶかい文章がありました。 共話とは、次の例のように、話者同士が互いのフレーズの完成を助けながら進める会話形式を指す。 A:「今日の天気さぁ」 B:「…

留学生による字幕翻訳上映会

毎年恒例の、留学生による字幕翻訳上映会を行いました。夏休み前の数カ月間、翻訳クラスの授業で取り組んでいた作品を、他の学年の学生や教職員とともに鑑賞して、最後に投票で「最優秀字幕賞」を決めるというイベントです。留学生は様々な言語の母語話者で…

いつかは死ぬからこそいま何かをやろうと思う

ヴィクトール・エミール・フランクル氏*1の『それでも人生にイエスと言う』を読んでいたら、こんな一節がありました。 私たちが不死の存在だったら、私たちはなんでもできただろう、しかしまたきっとなにもかもあとまわしにすることもできただろう(中略)死…

NIGO®展

東京は新宿、甲州街道沿いにある文化学園服飾博物館で開催中の「NIGO®展ーー未来は過去にあるーー」を見てきました。施設の規模としては小体な博物館での展示ですが、アメリカを中心としたカジュアルウェアのヴィンテージコレクションがずらっと並び、壮観で…

新入社員が在宅勤務するのはNGか

在宅勤務が苦手な自分 コロナ禍に突入してから、在宅勤務やリモートワークという働き方が広まりました。私が勤めている職場でも一時期は授業がすべてオンライン形式になったので、自宅から授業をする先生方も多くいました。感染状況が収まってきた現在でも、…

巨神兵のコルク

今週は自分の誕生日が来るので、デパ地下でワインを買いました。ソバーキュリアスという言葉に出会ってお酒をほぼ飲まなくなった私ですが、別に禁酒しているわけではないのです。というわけで、誕生日とか結婚記念日とか何かの節目には飲むのです。ピノ・ノ…

「何が何でもブラック企業に就職したくない」について

仕事先の学校で、学生さんの就職難に関して「最近の学生はちょっと極端なくらい『ブラック企業』を怖がる」というお話を聞きました。ようは、社会に出ればそれなりに理不尽なこともあるだろうし、多少は無理をする局面もあるだろうに、最初からそれらを一切…

キャット&ドッグ

今朝の東京新聞に、こんな記事が載っていました。『カンタンBESTスロトレ&ストレッチ』と題した連載コラムです。姿勢の改善と腰痛予防に効果があるというこの運動、実は私もパーソナルトレーニングで教わってから毎日やっているのですが「キャット&ドッグ…

痩せる結果になっちゃってた

BMIという指数があります。「ボディマス指数(Body Mass Index)」の略称で、体重と身長を使って肥満度をはかる指数として、毎年の健康診断などでもおなじみの数値です。www.health.ne.jp私は現在このBMIが25を超えており、健康診断では「肥満(1度)」と判…

脱マスクをそろそろ真剣に考えるべき

先日、東京新聞の朝刊にこんな記事が載っていました。www.tokyo-np.co.jp 常にマスクをつけて人と相対するという、きわめて非日常的な風景が日常化して数年。これはそろそろ脱マスクを真剣に考えるべき時にきているのではないかと思わせる、かなり後味の悪い…

ヒット曲のリズムの秘密

いつもYouTubeで音楽解説の動画を楽しませていただいているドクター・キャピタル氏が本を出されたというので、早速読みました。『ヒット曲のリズムの秘密』です。ドクター・キャピタル氏が音楽、とりわけJ-POPの楽しみ方をリズムに焦点を当てて解説する一冊。…

英国一家、日本を食べる

数年前、ヘルシンキで寿司を食べたことがあります。寿司店に行って食べたのではなく、民泊で借りていた家の近くにテイクアウトの寿司店があったので買ってみたのです。 海外における寿司人気はもうずいぶん前から伝えられていますが、同時に寿司の「現地化」…

デマに加担しそうになった自分

昨日の朝、東京都心のJRダイヤが大幅に乱れました。私は早朝から都心に出ていたので巻き込まれませんでしたが、同僚の一部は影響を受けたようすで、職場のチャットに「少々遅れます」「線路内に立ち入りがあったらしい」などの情報が飛び交っていました。ど…

オフィス着に凝らない

同僚の韓国人から興味深い話を聞きました。韓国のビジネスパーソン、特に若い世代の人たちは「仕事にいい服を着ていかない」というのがトレンド、という話です。仕事に行くときは毎日同じようなシンプルな格好(ファストファッションのTシャツとジーンズとか…

ボマーマフィアと東京大空襲

戦争における爆撃、とくに航空機から行われる空爆といえば、私たちは写真や映像などでこんなビジュアルを想起します。 https://www.ac-illust.com/main/search_result.php?word=%E7%A9%BA%E7%88%86これだと、まるでひとつひとつの爆弾が垂直に落下しているよ…

声援や拍手はいらない

いつも拝見しているブログ「オトニッチ」さんでこんな記事を読みました。音楽ライブでの声援や拍手はいらないのではないかというお話です。www.ongakunojouhou.com 観客の声はライブを盛り上げる要素かもしれない。しかしライブの本質ではない。それに気づい…

ほどよくお金がかかる趣味

今週のはてなブログランキング(2022年9月第2週)、増田*1部門にこんな記事がランクインしていました。anond.hatelabo.jp「ほどよくお金がかかる趣味を教えて」とのご所望で、主な条件は以下のとおりだそうです。 ●それなりにお金は必要だけど、お金持ちやコ…

ハッセルバックポテトとカチャトーラ

日曜日の朝、出かける前にテレビをつけていたら、リンナイのCMでこんなのをやっていました。www.youtube.comこのCM、ご夫婦と思しきお二人の会話が少々エキセントリックで(失礼)、なんとも気恥ずかしい感覚に襲われます。その意味でCMとしてはあまり成功し…

スターシステム

よしながふみ氏のマンガに出てくる人物で、異なる作品なのに同じような外見と性格のキャラクターがいます。『西洋骨董洋菓子店』のエイジと『フラワー・オブ・ライフ』の春太郎と『きのう何食べた?』のタブチです。先日読んでブログに感想を書いたロングイ…

能とAR・VR

雑誌『現代思想』9月号の巻頭に、情報学研究者のドミニク・チェン氏と能楽師の安田登氏による対談が掲載されていて、その中に興味深い一節がありました。 チェン 例えば『羽衣』の冒頭に「虚空に花降り、音楽聞え……」という一節があって、そこでcluster*1内に…

小紅書

中国版Instagramと称される“小紅書(RED)”が講談社の『FRaU』オンラインで紹介されていました。この記事では主にSNS的な側面からの紹介になっていますが、実際には「『インスタグラム』と『アマゾン』が一緒になったようなアプリ」なんだそうです。なるほど…

素数のシューズボックス

小島寛之氏の『世界は素数でできている』を読み始めたら、冒頭にこんな記述がありました。 世界は素数でできている かく言う筆者も素数マニア。筆者は今年59歳、6年ぶりの素数の年齢だ、などとほくそえみます。温泉などに行くと、下駄箱やロッカーは必ず素…

仕事でも、仕事じゃなくても 漫画とよしながふみ

出先の駅前でふらっと入った書店の棚に見つけて欣喜雀躍、すぐに買い求めました。マンガ家・よしながふみ氏へのロングインタビューを収めた『仕事でも、仕事じゃなくても』です。 仕事でも、仕事じゃなくても 漫画とよしながふみはじめて氏の作品を読んだの…

きわめて愚直に投資を続ける

最近「はてなブログ」界隈で投資に関する記事を多く見かけます。今週の「週刊人気記事ランキング」だけ見ても、1位から29位までの間に、投資に関する4つのブログ記事がありました。hatenablog.comほかのブログサービスで提供されているブログを丁寧に追いか…

サムゲタン

韓国人の同僚から「サムゲタン(参鶏湯)」用の薬膳材料セットをもらいました。この夏、三年ぶりに帰省した際に、おみやげとして買ってきてくれたのです。私の好みをよく分かってらっしゃる。 https://tradesupport.gwd.go.kr/portal/company/product/produc…

限りなく完璧に近い人々

デンマークのコペンハーゲンで、「スモーブロー」と呼ばれる伝統的なオープンサンドイッチのお店に行ったときのこと。たくさんあるオープンサンドの種類に恐れをなして、店員さんに「この店のおすすめはどれですか」と聞いたら、ちょっと困ったような顔で「…

10/10

ネットニュースを検索していたら、ビル・ゲイツ氏が目黒寄生虫館を訪れたという話がTwitterのリンクとともに載っていました。I’m at my happiest when I’m learning – no matter how gross the subject matter. Today, I experienced the Meguro Parasitolog…

親称と敬称、あるいは「彼」と「彼女」

滝浦真人氏の『日本語は親しさを伝えられるか』という本を読んでいて、ヨーロッパの言語によく見られる、二人称単数代名詞の親称と敬称について書かれた一節に興味をひかれました。 日本語は親しさを伝えられるか二人称単数代名詞というのはつまり「あなた」…

フィンランド語 180 …フィンランド語が話せるようになるために

ほそぼそと続けているフィンランド語の学習、教室の先生からは教科書のテキストを最後の章から順にすべて暗記するという課題が出され、ここのところずっと取り組んできました。qianchong.hatenablog.comそれがだいたい定着したところで、こんどは先生からテ…