インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

2020-07-01から1ヶ月間の記事一覧

オンライン授業に足りないもの

新型コロナウイルス感染症の第二波(とあえて言いましょう)が来てからこちら、またまた始まったオンライン授業(遠隔授業)。私は現在、講師としても学生としてもオンライン授業に参加していますが、それぞれに疲れる点があるなと感じます。講師として一番…

経営難に陥る学校が増えるかもしれない

夏休みを前にして、うちの学校では早くも来年度の学生募集に向けて動き始めておりまして、昨日は学校説明会が開かれました。とはいえコロナ禍の現状を踏まえ、Zoomによるオンラインでの学校説明会です。私も自分の所属する学科の説明で駆り出されたので、研…

新手のタバコ広告

東京メトロの構内で配布されている『メトロミニッツ』というフリーマガジンがあります。 www.ozmall.co.jp 先日手にしたこのフリーマガジンには、「IPPUKU@HOME」という記事が載っていて、「夏の『一服』にぜひ取り入れたいのが、爽快感を与えてくれるアイ…

詩の引用がカッコいい

しつこく能『融』と中国の詩についてです。この能には、もうひとつ中国の詩が引かれています。それは賈島の『題李凝幽居』に出てくる“鳥宿池中樹/僧敲月下門(鳥は宿す地中の樹/僧は敲く月下の門)”です。 賈島「題李凝幽居」 相原健右・訳 閑居少鄰竝 静…

能『融』と蘇軾の『水調歌頭』

昨日書いた能『融』の舞について、続きです。能の終盤に出てくるこの舞(早舞)は、秋の月光に照らされながら源融(みなもとのとおる)の亡霊が月を愛でつつ舞うというシーンで、静かに「遊興」の境地を楽しむような風情を感じさせる(師匠の受け売りです)…

舞の寸法と見計らい

漫才師・ナイツのお二人に『棒君ハナワ』という漫才があります。「暴君」じゃなくて「棒君」。刑事ドラマに客演した塙宣之氏のセリフが「棒読み」だとネットで叩かれたことをネタにした作品です。ナイツ - - - 「棒君ハナワ」/『ナイツ独演会「エルやエスの…

オンライン授業に欠けている身体性

一ヶ月に二回だけ担当している通訳学校の授業、この春学期は新型コロナウイルス感染症の影響ですべてZoomを使ったオンライン授業になっています。オンラインの遠隔授業ですから講師の私も自宅から参加すればいいのですが、Zoomのアカウントの問題や、Zoomに…

必ず誰かを救う

厚生労働省が提供している、新型コロナウイルス接触確認アプリ「COCOA」をスマホに入れました。Bluetoothを使ってアプリ利用者同士の接触を記録し、接触者から陽性者が出た場合にお知らせしてくれるというものです。www.mhlw.go.jp 諸外国でも同様のアプリの…

「リモート通訳」の時代

はやいもので今年もすでに半年を過ぎ、あまり夏らしい天候にならないまま八月を迎えようとしています。年明けからここまで、なんだかコロナ禍に振り回されっぱなしだったような気がしますが、気がついたら今年は、一度も通訳業務をしていませんでした。もと…

PCR検査の結果は「お墨付き」ではないですよね

ついに、というか、まあ当然というか、自分が担当している留学生にも新型コロナウイルス感染症の陽性と判定された人が出ました。私は週に一度しかその学生さんとは会わず、もとよりうちの学校は数週間前から遠隔授業に戻っていますから、私はいわゆる「濃厚…

体育会系的な「自分」について

パーソナルトレーニングのジムに通っていて、トレーナーさんたちがご自分のことを「自分」とおっしゃる割合が高いことに気づきました。そうやって気づいてみると、男女を問わずトレーナーさんは「自分」とおっしゃる方が多いような。加えて、周囲でトレーニ…

教員も傷ついている

Twitterのタイムラインにこんなハッシュタグが流れていました。#大学に行かせてください #対面授業を受けたいです #大学生の日常も大事だこうしたハッシュタグつきのツイートを、読んでいて身につまされます。例えばこちらの学生さん。私の母校の学生さんで…

ふたたびオンライン授業に戻ってみて

再び感染者数が急激に増加してきた新型コロナウイルス感染症。感染者数だけではなく陽性率や重症化率なども加味して捉えるべきだとはわかっていても、じわじわと感染が広がっている、あるいは自分にも近づいてきているというこの雰囲気は、かなり重苦しいも…

Duolingoに課金しようかな

毎朝通勤電車の中で細々と続けている「Duolingo」の英語、連続日数が1500日になりました。このところずっと「ダイヤモンドリーグ」で、毎週だいたい20位から30位ぐらいのところでリーグ残留になっていて、毎日リーグ落ちしないくらいの学習量を継続していま…

フィンランド人の英語

『フィンランド人はなぜ「学校教育」だけで英語が話せるのか』という本を読みました。確かにフィンランドを旅行すると、特に都会ではどこに行っても英語が普通に通じます。田舎に行くと、年配の方々には「英語は苦手なの」とおっしゃる(とはいえ私などより…

腕時計をしなくなりました

私は脳の「筋トレ」のつもりで毎日ブログの文章を書いています。だいたいは朝の出勤途中に何となく「これを書こう」と考えて、始業前のちょっとした時間を使って書いていることが多いです。だいたい同僚より1〜2時間は早く出勤するので、その間にメールチ…

PASMOのポイント還元を受けてきました

私は現在「ほぼキャッシュレス」の生活を送っておりまして、お店での支払いはクレジットカードかSuica・PASMOで済ませることがほとんどです。そのPASMOは、経済産業省が推進する「キャッシュレス・消費者還元事業」に基づいてポイント還元のサービスが行われ…

重力は裏切らない

「人は裏切るけど、ダンベルは裏切らない」。これは確かTestosterone氏の名言だったと思います。「ダンベル」じゃなくて「バーベル」、あるいは「筋肉」だったかもしれません。でもとにかく、時と場合と立場と都合でいかようにも変わりうる人間の心に比べて…

マブイの行方

平野久美子氏の『牡丹社事件 マブイの行方ー日本と台湾、それぞれの和解』を読みました。日本が、その後半世紀にわたる統治(植民地支配)を始める20年以上も前、1871年に起きた「琉球民遭難殺害事件」と、それをひとつの口実にして1874年から始められた「台…

テレビニュースを見なくなりました

以前、YouTubeで著述家・評論家の勝間和代氏が「テレビのニュースを一切見てはいけない」と主張されている動画を見ました。勝間和代の、テレビのニュースを一切見てはいけない理由を教えます勝間氏は「テレビのニュースは我々の恐怖や猜疑心を煽るものばかり…

夢を叶えたい学生さんに対して

夢を叶えたいという学生さんを、あろうことか教師が全面否定。作家の立原透耶氏がTwitterでリツイートされていた話題ですが、自分も教師という立場にある人間なので、身につまされるような思いで読みました。自戒も込めて。作家になりたいというたびに、全学…

コロナ禍と演劇

コロナ禍は社会のあらゆる場所で、思いもよらなかった影響を及ぼしつつあります。特に人が集まる閉鎖空間は「三密」が容易に形成されてしまうため、いまだ「コロナ以前」の状態を取り戻せていません。私の職場でも教室のドアや窓を開け放しつつエアコンをつ…

行けるうちに行こうと思っていた旅に行けない

中高年となり、人生折り返しどころか、へたをすると最終盤に差し掛かっているお年頃。周囲には「言霊ってこともあるから、よせ」と言われますが、人生の残りはそんなに多くないと常々思っています。もちろん長生きできれば「めっけもの」ですが、それだって…

さよなら腰痛

もう何十年も前から、たびたび襲ってくる腰痛に悩まされてきました。「ぎっくり腰」のようなひどいものもあれば、なんとなく腰のあたりが「しくしく」痛むというものもありましたが、とにかく一度腰痛になってしまうと仕事も暮らしもまるごとドンヨリとした…

「なるべくラクな道」を選ぼうとする学生さんたち

英語や中国語の動画に、日本語の字幕をつけるという翻訳の授業をやっています。業界標準の字幕翻訳用ソフトを使い(ただしお高いので、出力に制限があるアカデミック版)、ハコ割りからスポッティング、文字数制限、記号の使い方、役割語の処理……にいたるま…

清濁併せ呑む大人にならなきゃ

若い頃、中国語の新聞社で紙面レイアウトの仕事をしていた時期がありました。その会社の経営者は日本人で、社内では中国人が多く働いていました。1989年の天安門事件を契機に生活の拠点を日本に移した人も多く、そういった背景のある人たちへ労働ビザを出し…

「レッドスキン」をめぐって

新聞に、興味深い記事が載っていました。アメリカンフットボールのプロリーグ・NFLで、「ワシントン・レッドスキンズ」というチーム名が「先住民を侮辱している」と批判され、改名を検討しているという記事です(東京新聞7月5日朝刊)。私はアメフトに全然…

筋肉痛に襲われなくなった

「プロの運動選手は筋肉痛にならない」という話を聞いたことがあります。ジムのトレーナーさんから聞いた話です。運動選手は毎日身体を鍛えているので、我々のようにたまに運動した翌日や翌々日にひどい筋肉痛に襲われる……というようなサイクルにはならない…

あいうえおの歌

第二次世界大戦時の1942年から1945年にかけて出版された、『FRONT』(フロント)という大判のグラフ誌があります。原弘、木村伊兵衛など、後に昭和を代表するデザイナーやフォトグラファーとなるメンバーが所属していた、大日本帝国陸軍参謀本部の直属出版社…

『桃太郎』に感じる小さな疼きのようなもの

留学生のための一般教養講座で『東アジア近現代史』という授業を担当しています。毎年その授業の一環で『桃太郎 海の神兵』という、1944年に海軍省の後援で制作されたアニメーション映画を紹介しています。この映画のクライマックスに出てくる、落下傘部隊が…