インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

2020-04-01から1ヶ月間の記事一覧

『猫を棄てる』の挿絵

村上春樹氏の『猫を棄てる』を読みました。氏の父上について書かれた短編で、そこに添えられた高妍氏の挿絵に強く惹きつけられました。高氏は台湾出身のイラストレーターで、日本にも留学されていたことがあるそうです。 猫を棄てる 父親について語るときど…

「一瞬で消えるようなものではなくて」

先日、新型コロナウイルス感染症から回復した俳優のトム・ハンクス氏が、「コロナ」という名前からいじめの被害にあっていたオーストラリアの少年からお見舞いの手紙をもらい、その返答とともに「スミス・コロナ社」製のタイプライターを贈った、というニュ…

「中国的なもの」に向き合う姿勢

台湾の新聞ポータルサイトをのぞいていると、今回の新型コロナウイルス感染症に対して“武漢肺炎”という呼称が使われていることに気づきます。政治的に中華人民共和国と距離を置く紙面編集路線の『自由時報』や『蘋果日報』がそうです。一方親中的スタンスを…

Zoomの共有画面でPowerPointの発表者ツールを使う

Zoomで「一人会議」をしながら、自分のデスクトップの画面でPowerPointなどのスライドショーを使ってプレゼンしつつ話し、それを録画してYouTubeなどにアップロードする……オンライン授業(遠隔授業)をされている方がよく利用する方法だと思います。ふだん学…

“covidiot”について

“covidiot”という英単語が生まれたそうですね。新型コロナウイルス感染症の“covid-19”と「馬鹿者」を意味する“idiot”からなる造語で、外出自粛など感染症の蔓延を抑えるための要請に従わず、おバカな行動をしてしまう人々を揶揄した言葉だそうです。「家にい…

学生さんの「不満」をめぐって

きのう偶然Twitterで拝見したこちらのツイート。新型コロナウイルス感染症の拡大で学校教育が大幅な予定変更、あるいは停止状態に追い込まれている中で、学生さん側の不安と不満がよく分かるつぶやきでした。教職員もてんてこ舞いだけど、学生さんも混乱の中…

オンライン授業をどうする?(その4)

メインで勤務している学校では、遅ればせながら5月からオンライン授業(遠隔授業)を本格的にスタートさせることになり、同僚の教員と毎日ネットで会議を開いて準備を進めています。学校によってはもうこの4月から稼働させているところもあるよし。うちの…

ポラリスが降り注ぐ夜

もうずいぶん前のことなので、誰と話したのか、どういう状況でそんな話になったのかも思い出せないのですが、中国語を話す時に“怎麼說呢……(なんと言ったらいいかなあ)”を使わないようにしようと語り合ったことがありました。“怎麼說呢”というのは一種の間…

テレワークの「身体の組成が変わる」感

新型コロナウイルス感染症の影響で、連日テレワークをしながら同僚とネットで会議を開きつつ、オンライン授業の段取りをしています。いや、オンライン授業というより遠隔授業ですか。オンラインというと、ネットにリアルタイムで接続しているイメージですか…

教室へのICT活用入門

書名の通り、ICTつまりコンピュータやインターネットを活用した「情報通信技術」を教育にどう持ち込むかについての「基本のキ」から解説した本です。ごくごく初歩的な用語の解説や、さらに学びたい方向けの参考書籍なども豊富に載っていて、初心者にやさしい…

常勤と非常勤の信頼関係

今朝の東京新聞に「オンライン授業 負担ずしり」という記事が載っていました。コロナ禍でアルバイト収入がなくなる一方でオンライン授業に必要な環境が十分に整備できない学生さんの苦境を報じたものです。www.tokyo-np.co.jp私が勤めている学校でも、今月の…

安倍晋三氏の話し方

この間、私たちは何回か安倍晋三氏の記者会見における演説に接しました。自分の言葉で話さず、原稿を読んでいる、終始プロンプターを見ている……と評判がすこぶる悪いですが、原稿やプロンプターを見ていたとしても自分があそこまで話せるだろうかと考えたら…

骨伝導ヘッドフォン

骨伝導ワイヤレスヘッドフォンを買いました。人間は耳の奥にある鼓膜が音によって振動し、さらにその奥の蝸牛、聴神経と伝わることによって音を聴いています。それ以外に頭骨の振動から蝸牛へ音を伝えることもでき、それを利用したのが「骨伝導」のヘッドフ…

語学を細々と続ける

「COVID-19」が社会全体に影響を与えているこの大変な時期。仕事や暮らしのことで精一杯で語学なんて、ましてや趣味の語学なんていちばん後回しになりそうな状況です。実際、趣味で続けているフィンランド語の講座は、学校から休講のお知らせが来たっきり、…

オンライン授業をどうする?(その3)

ここ数日、同僚とZoomなどで意見交換しながら、オンライン授業をどうするか模索してきました。学校側からは、まずこの4月中はもちろん登校しての対面授業は不可能なので、学生になにか課題を出してほしい、さらに5月中もおそらく不可能になりそうなので、…

SNSとの新たな関係

ここ数ヶ月、SNSから距離をおいていました。ごくごく私的なつぶやきや、いわゆる「リア充自慢」や、どうでもいい情報についつい時間を取られ、「本当に大切なことに集中する」ことができないと思ったからです。もともとSNSはかなり断捨離をして、最近はTwitt…

オンライン授業をどうする?(その2)

多かれ少なかれ、オンライン授業がどうやら不可避という状態になって、ようやく本腰を入れて勉強し始めました。勉強し始めて分かりましたが、いろいろな教育現場のいろいろな方々が、もう早くからこうした状況を見越して勉強なり準備なりを続けてきてらっし…

フィンランドふうのシナモンロール

ずーっと在宅で勤務していると気が滅入るのでこまめに運動をしています。が、それでもなんとなく心身ともに不健康な感じがして、いつもより炊事に力を入れています。田舎で農業の真似事をしていた頃や、フリーランスの頃は二日と開けずパンやらケーキやらを…

オンライン授業をどうする?

YouTubeで拝見したこちらの動画、非常に興味深い内容でした。今回の新型コロナウイルス感染症のパンデミックに際して*1、日本語学校がネットを使ってできることは何か、これまでにもあった様々なビジネスチャンスを日本語教育業界は見逃してきたんじゃないか…

未来予想なんてムリだった

社会的距離(ソーシャルディスタンス)を取るよう求められています。感染爆発の可能性を少しでも減らすために有効だとのこと。それでも、この方針に完全に従おうと思ったのはごく最近のことでした。私は毎日ブログを書いているので、過去に遡って自分を見つ…

髪が伸びきっちゃう

いつも髪を切ってもらっているお店からメールが来ました。新型コロナウイルスの感染拡大防止と、緊急事態宣言の発令を受けて、今週末から四月の末まで休業にするとのことです。新聞の報道では、緊急事態宣言発令にあわせて発表された政府の「基本的対処方針…

在宅勤務も楽じゃない

在宅勤務になってもう二週間あまり。それでも職場に行かないと使えない資料や機材などもあって、時差出勤をしたりしなかったりと不規則な体制で仕事をしていましたが、ついに今週から「原則出勤は禁止」となってしまいました。さらに先日の緊急事態宣言で、…

本棚スキャン

古書の流通において面白い取り組みを次々に打ち出している、長野県は上田市のバリューブックスさん。手持ちの本の買取価格をスマホでかんたんに査定できるという「本棚スキャン」というサービスをされています。昨年から始まっていたこのサービス、遅まきな…

ステルスなラーメン屋さん

東京は新宿の「ビックロ」近くに、いつも行列ができているラーメン屋さんがありまして、見たところ中高年にうれしい「淡麗系」の醤油ラーメンらしく、気になっていました。もう数週間前のことですが、所用で近くを通りかかったのが開店時間の11:00少し前くら…

ウイルス側の「戦略」

ジョセフ・ヒース氏の『啓蒙思想2.0』を読んでいたら、とてもタイムリーな記述に出会いました。昨今の新型コロナウイルス感染症を彷彿とさせる記述です(この本の出版自体は2014年)。 私たちがウイルスに対応するべく適応を遂げてきたこと、たとえば免疫系…

テディベアの「 e 問題」

相変わらずフィンランド語の格変化を練習しています。今日は「nalle(テディベア)」という単語でやってみたものの、うまく行かなかった+そののち発見があった……ので、備忘録的に記そうと思います。「nalle」は「e」で終わる単語なので、語幹は語尾が「e → …

グレイヘアのその後

近藤サト氏の『グレイヘアと生きる』に触発されて、真っ黒に染める白髪染めはやめちゃおう! と決めて三ヶ月あまり。いつも髪を切ってもらっているお店で相談したら、全く染めないのではなく、白髪をぼかす感じで染める方法がありますと提案されました。qian…

自然言語処理にいたるまでの壮大な物語

四月に入り、職場への通勤が復活しました。……が、新学期の開始はゴールデンウイーク後まで延期されたため、教員の自宅勤務は継続ということに。でも私は「小人閑居して不善を為す」を地で行くような人間なので、自宅にいると仕事が全くはかどりません。とい…

「布マスク二枚配布」の衝撃

東京は墨田区*1に江戸東京博物館という施設がありまして、私は留学生の見学に付き添って何度も行ったことがあります。色々と興味深い展示物があるこの博物館、私にとって一番インパクトのある展示物は、何と言っても「火叩き(ひたたき)」です。 ▲江戸東京…

とことんヒラ社畜的な私

新型コロナウイルス感染症が拡大する中、学校現場では新学期を迎えようとしています。私の職場では二月中から通退勤時のラッシュを避けるための時差出勤が奨励され、三月に入ってからは休講や行事の取りやめが相次ぎ、学生の春休みに合わせて教職員もなるべ…