インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

2019-09-01から1ヶ月間の記事一覧

「通訳訓練でマスクを外さない」のは是か非か

あちこちの学校で教える立場に立っていると、いろいろな生徒さんに出会います。私が奉職してきたのは主に職業訓練的な学校で、仕事に直結させるスキルを訓練する場所なので、そこに通う生徒さんたちは当然「その職業につくためにはどうすればよいか」を真剣…

料理に合わせるノンアルコールの飲み物・その3

歳を取ってあまりお酒が飲めなくなったので、食事の際に飲めるノンアルコールドリンクをあれこれ探している……というお話の続きです。qianchong.hatenablog.com qianchong.hatenablog.comこれまで、スーパーなどで見かけるノンアルコールのビールはほぼ全種類…

フィンランド語 46 …単数形の入格と複数形の入格

複数形については、これまで二種類の形を学びました。ひとつは主格や対格の複数形で、目印は「t」。例えば「kuka(花)」なら複数主格が「kukat」、複数対格も「kukat」です(複数形の主格と対格は同じ形)。もちろん「ie子」の語幹変化や「kpt」の変化(子…

語学と教養は裏切らない?

いま勤めている学校では「クラス担任」というものを拝命しております。うちは専門学校でして、通っている留学生諸君は全員二十歳代から三十歳代の成人です。義務教育ではなく、大人が自分の意志で学びを選択する場所なので、いわゆる生活指導的な役割を果た…

惰性で塩辛いものを食べている

昨夜のNHKで放映されていた『ガッテン!』、たまたま見たのですがとても面白い内容でした。テーマは「減塩」。私はここ数年高血圧気味で、なおかつ東京の外食や加工食品の塩辛さがつらくてほとんど自宅で自炊しているので、その点でも興味深く見ました。www9…

図書館のリサイクル本から拾った『中国故事』

先日、勤め先の学校の図書館に行ったら、入り口のところに「ご自由にお持ちください」と「リサイクル資料」が何十冊も並べられていました。文献としてすでに古くなったものや、時代遅れになったもの、新版が出て要らなくなったものなどを処分しつつ、定期的…

芸談としての『言い訳 関東芸人はなぜM-1で勝てないのか』

現在、留学生向けの「東アジア近現代史」という授業を担当しているのですが、先日は古今東西のプロパガンダに関する生徒の発表でした。みなさんとても興味深いプレゼンを展開していて逆にこちらが勉強になるほどです。そのなかで、参考資料としてYouTubeの映…

武井壮氏と北の富士勝昭氏のコントラスト

昨日大相撲の秋場所が千秋楽を迎えました。私自身は相撲にあまり興味はないのですが、細君が大ファンで、休日の夕刻はたいがいテレビにかじりついています。私も夕飯の支度をしながら中継の音だけ聴いているのですが、いつも気になって仕方がないのが解説を…

スポーツと暴力

昨日の東京新聞朝刊に「eスポーツが五輪競技になる日」という記事が掲載されていました。eスポーツ、つまりコンピューターゲームを使った競技の大会が世界各地で行われるようになり、アジア大会では正式競技となることが決まったそうで、そうした現状をどう…

Spotifyもやめちゃった

これまで、音楽ストリーミングサービスのSpotifyを「プレミアム」、つまり広告なしで聴き放題できるというプランで利用してきたのですが、先日無料プランに戻しました。追って退会手続きもしようと思っています。Spotifyはポップスやロックはもちろん、私の…

中国語圏の映画が熱かった時代

職場の図書館で見かけた雑誌『キネマ旬報』9月下旬号が「1990年代外国映画ベスト・テン」という特集を組んでいました。表紙の写真からして楊德昌(エドワード・ヤン)監督の『牯嶺街少年殺人事件』だったものですから、「おおっ!?」と惹きつけられて読んで…

Twitterをやめてよかった

平日の早朝は、ほとんど毎日ジムに行って体を動かしているのですが、トレーニングのあとにシャワーを浴びて、サウナを利用するのが日課になっています。出勤時間を考えると、サウナ室にいるのがちょうど朝の8時前後になるのですが、サウナ室内で放映されて…

わたしの台所

沢村貞子氏の『わたしの台所』を読みました。きっかけは新潮社のビジュアル入門書シリーズ「とんぼの本」の『沢村貞子の献立日記』を読んだからなのですが、このビジュアル本はもちろん、エッセイとして名高いこの『わたしの台所』にはしみじみと共感できる…

傘の修繕

中秋節を過ぎて、ようやく朝晩がしのぎやすくなってきましたが、今年の夏もその暑さ、いえ蒸し暑さにほとほと参り果てました。もとよりその人の多さで人々のイライラ感が充満している東京に、あの殺人的な蒸し暑さ。もうここ何年も「これ以上は耐えられない…

イヤーワーム

ふと気がついたら、脳内で特定の音楽がヘビーローテーションしていたってこと、ありませんか? 私はよくあるんですけど、あれには「イヤーワーム(earworm)」という名前がついているそうです。しかも様々な調査で、およそ9割以上の人が日常的に経験してい…

サウナのあるところ

ヨーナス・バリヘル、ミカ・ホタイネン共同監督の映画『サウナのあるところ』を観ました。サウナに関するフィンランド映画、という情報のみで映画館へ向かったのですが、静謐な雰囲気の中に深い味わいを残す素敵な作品でした。【以下、一部に映画の具体的な…

母語なのに聴き取れない

華人留学生(出身地は中国・台湾・香港・マカオなど様々)の通訳訓練クラスを担当していると、時々おもしろいことが起こります。華人留学生なのに、つまり中国語が母語や準母語*1であるみなさんなのに、教材の中国語が分からない、あるいは聴き取れないこと…

911と癌患者の関係

昨日の東京新聞に「米中枢同時テロ18年」という記事が載っていました。この見出しを見てまず「あれ、以前は『同時多発テロ』という呼称が一般的だったような気がするけど、いつから変わったのかな」と思いました。それはともかく、あれから18年ですか。あの…

料理に合わせるノンアルコールの飲み物・その2

中高年にいたって、お酒がほとんど飲めなくなりました。でも食事のときに何か飲み物を料理に合わせたいのです……。かつてビールやワインなどを浴びるほど飲んでいた(それでもほとんど酔わないどころか翌日も快調)頃には、そんなことで頭を悩ますようになる…

料理に合わせるノンアルコールの飲み物

ヘルシンキでは現代フィンランド料理のお店二軒に行ってみました。いずれも食材に自然素材やオーガニックなどを謳っていて、なおかつ芸術的な盛り付けで小さな料理をいくつも提供するコース、つまり会席料理みたいなスタイルのお店です。どちらもコースに合…

動詞の活用ワークシート

以前動詞の「棚卸し」をやったのですが、それを繰り返し練習するためのワークシートみたいなものを作ってみました。一つの動詞をその意味とともに左上に書いて、そのあと……① 現在形肯定 6個 ② 第三不定詞 5個 ③ 第四不定詞 1個 ④ 現在形否定 6個 ⑤ 命令…

不機嫌なSNSについて

何かをはじめる、あるいは何かをやめる。そして、はじめたりやめたりしたその状態を長く保ち続けることができれば「継続は力なり」の「継続」になります。当たり前のことなんですけど、なかなかその力になるほどの継続ができないことのほうが多い。いわゆる…

リアルな「秋の夜長」について

いつも楽しみに読んでいる、東京新聞朝刊の塩村耕氏による「江戸を読む」。今日は「朝夕(ちょうせき)」という言葉が取り上げられていました。江戸時代の日本ではこの「朝夕」が朝晩二回の食事の意味で用いられたのだそうです。一日三食が習慣になったのは…

「開いててよかった」から離れて

この夏、フィンランドでなかば「暮らすように」旅をしていて印象深かったのは、かの地のお店の営業時間が短いことでした。いえ、短いというより普通といったほうがいいのかもしれません。要するに「9時−5時」であったり週末や休日には閉まっているというだけ…

知らぬはオヤジばかりなり

先日の東京新聞朝刊「本音のコラム」で、斎藤美奈子氏が「知らぬはオヤジばかりなり」と書かれていました。小学館の『週刊ポスト』が「韓国なんていらない」という特集を組み、「怒りを抑えられない『韓国人の病理』」などの差別を助長する記事の掲載で批判…

「エレガントで、丁寧で常に笑顔」な日本人

最近、都営地下鉄に乗ると、車内のスクリーンで「都営交通」の宣伝映像を見かけることがあります。著名な国際的写真家グループである「マグナム・フォト」に所属する写真家、ゲオルギィ・ピンカソフ氏の写真と、氏へのインタビューをもとにしたスクリプトが…

フィードバックをもらえるありがたさ

通訳学校は現在、秋学期の生徒募集時期ということで、どちらの学校も無料公開講座やセミナーなどを開催されています。eラーニングやネット動画を使った教材も増えている昨今、毎週毎週教室に足を運んで訓練する昔ながらのやり方じゃなくてもいいんじゃないか…

レイパユースト

この夏はフィンランドの田舎をレンタカーで旅行して、よく沿道のスーパーで食材を買い込んでいました。そのときに偶然買って食べたチーズがとてもおいしくて、すっかり気に入ってしまいました。見た目は「焼いたはんぺん」みたいなこのチーズ、名前は「leipä…

フィンランド語 45 …複数形登場

ほとんど「ボケ防止」で始めたフィンランド語の学習は細々と続いています。先日フィンランドを旅行して、多少なりとも看板が読めたり、単語の羅列程度であっても話が通じたりすると、やっぱり楽しいものですね。学校での授業はどんどん進んで、複数形が登場…

「まあいいか」の練習

先日「オーウェル思考」という言葉を知りました。『1984』や『動物農場』『カタロニア讃歌』などを書いた作家のジョージ・オーウェルを連想したんですけど、全く違っていて、英語の“Oh, well(まあいいか)”なんだそうです。gendai.ismedia.jp 日頃から「ま…