インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

2019-02-01から1ヶ月間の記事一覧

能「道成寺」と唐詩「楓橋夜泊」

私はいまのところ中国語業界の末端に連なっているので、初対面の方に「日本の伝統芸能である能楽(能と狂言)が好きです」と申し上げると、ときおり「へええ、中国の芸能じゃなくて? またどうして?」というような反応をいただくことがあります。先日も某所…

モバイルPASMOをはやく実現させてほしい

ちきりん氏のこのブログ記事、とても興味深く拝見しました。chikirin.hatenablog.com私は現金(特に小銭)を持ち歩くのがめんどうなので、ほとんどすべての支出をキャッシュレスにしているのですが、確かにSuica、それもスマホに組み込めるモバイルSuicaが最…

「公衆サウナの国」における相互信頼と自律にひかれる

こばやしあやな氏の『公衆サウナの国 フィンランド』を読みました。日本の銭湯文化とも通底するようなフィンランドのサウナ文化について、豊富な図版とともに紹介した楽しい一冊です。 公衆サウナの国フィンランド: 街と人をあたためる、古くて新しいサード…

「ググること」そのものが不得手なのかもしれない

先日拝見したこちらのツイート、日ごろ授業で接している留学生のみなさんを思い出して、色々と考えてしまいました。ここ7~8年,調べ物をするときにググれなくて学生が苦労している(というかできているようでできていない)ので『検索できない若者たち』と…

フィンランド語 33 …過去形

動詞の過去形を学びました。最初に先生から、「泣きたくなるくらい」複雑だけど素直に学んでいけばきちんと理解できますとの「ご託宣」がありました。萌え、いえ、燃えますね。まず、過去形の大きな特徴として…… ① kpt の変化(子音交替)がある。 ②目印は主…

「能面のような」という形容をなんとかしたい

世上よく「顔に生気がなく表情が冷たいさま」を「能面のような」と形容されることが多いのですが、能楽ファンとしては少々納得がいきません。とはいえ、私も初めて能を見たときは、正直に申し上げて無表情に見えました。いや、見えたどころか熟睡しちゃった…

レトロな「あいみょん」について

昨年の秋ごろでしたか、ジムでトレーニングしているときに偶然BGMでかかっていた、あいみょん氏の『君はロックを聴かない』。面白い歌詞だなと思ってすぐにSpotifyで探し、それ以来よく聴いています。youtu.be 君はロックを聴かない若い女性シンガーの声なの…

デジタルデトックスの必要

先日のNHK『クローズアップ現代+』はなかなか衝撃的な内容でした。www.nhk-ondemand.jp「時間が空いたらスマホを取り出す」とか「疑問が浮かんだらすぐ検索する」など、スマホやネットにつながったデジタル機器を過度に使用し続けることによって、記憶力や…

列車がまだ駅に到着していません

先日偶然見かけたこちらのツイート。先ほどの出来事ズボンのチャックが開いているのに気付かず電車乗ってしまってた(やばいやつ)ただ近くにいたイタリア人男性が気を利かせてGoogle翻訳したスマホを見せてこっそり知らせてくれてイケメンだった。【翻訳内…

サ道

何かを学んでいるときに「芋づる式」に次々と新しい世界が開けてくることってありますよね。最近もそんな感じで、フィンランド語を学んでいるうちにフィンランドという国の歴史や文化に興味を持ち、「フィンランド魂」を表す “SISU(シス)” という言葉をテ…

「ナチュラルに見下している」差別について

先日報じられていたこのニュース、なんとも後味の悪い感覚が残りました。www.oita-press.co.jp別府大分マラソンでボランティア通訳者を務めた50代の女性が、担当した選手について「原始人とコミュニケーションをしている感覚でした」とか「最初はシャイだっ…

なやんでいるひまに、一つでもやりなよ。

先日、ある講座に出席して授業を受けていたんですけど、講師の先生が最後に『ドラえもん』の名言を紹介されていました。 ▲図版は私の手元にある『ドラことば心に響くドラえもん名言集』(小学館)より。 なやんでるひまに、一つでもやりなよ。 これは確かに…

人の幸せを邪魔しちゃいけません

去る2月14日、「同性同士の結婚を認めないのは憲法が保障する婚姻の自由を侵害し法の下の平等にも反する」とした国賠訴訟が起こされました。ニュースソースはネット上にたくさんありますが、提訴前の取材記事であるこちらは、当事者の声や世界の状況、さらに…

フィンランドの “SISU” を勝手に感じてみる

カトヤ・パンツァル氏の『フィンランドの幸せメソッド SISU』を読みました(柳澤はるか氏翻訳)。 フィンランドの幸せメソッド SISU“SISU(シス)”というフィンランド語は他言語にひとことで翻訳するのが難しい概念のようですが、この本の第一章にはこんな形…

小確幸につながる炊事の「ころあい」

若者の「袋麺離れ」が顕著……という記事を読みました。blogos.comインスタント麺のうち、カップ麺は売り上げを伸ばしているのに対し、袋麺は「麺を茹でたり鍋や器を用意したりと調理に時間と手間がかか」ることに「特に若い人たちは不便さを感じて」おり、各…

お金の「見える化」が気持ちいい

先日とある「お金のリテラシーを学びましょう」という趣旨のセミナーに参加した際、家計の「見える化」が紹介されていました。私は根っからの「どんぶり勘定」人間で、お金だけでなく生き方そのものがどんぶり勘定かつ「出たとこ勝負」というかなりズボラな…

ネットカルマ

二日ほど前の東京新聞朝刊に載っていた佐々木閑氏のこちらのコラム、とても共感を持って読みました。ネット社会の到来によって、仏教で言うところの「業(カルマ)」が「実際の物理作用として実体化」したというの、スゴくよくわかります。いわゆる「炎上」…

内向型人間のすごい力

スーザン・ケイン氏の『内向型人間のすごい力』を読みました。内向型と外向型という二つの性格の型をめぐって、これまでの研究から明らかにされた科学的知見を元に、企業や教育現場などでの対人関係のあり方を論じた本です。 内向型人間のすごい力 静かな人…

無人島に一枚だけレコードを持って行くとしたら

「無人島に一冊だけ本を持っていくとしたら?」という問いがあります。繰り返し繰り返し熟読玩味するに足る愛読書を持っているかどうか……というのはなかなかに厳しい問いですよね。それまでの読書体験と、この先の人生観を同時に問われているようなものです…

「リベラル」ゆえの偏狭さ?

昨日cakes(ケイクス)で拝見した、渡辺由佳里氏のこちらの記事には色々と考えさせられるところがありました。cakes.mu「こんまり」こと近藤麻理恵氏の「片付け本」は私もずいぶん前に読んでハマったくちで、以来洋服のたたみ方やしまい方はずっと「こんまり…

遺体修復士のことば

今日も今日とて趣味(と実益を兼ねた)のディクテーションをやっていたわけですが。こちら↓は語速もゆっくりだし、そんなに難しい言葉もつかっていないけれど、とても深みのある動画で、通訳クラスの教材に使ってみようかなと思いました。極道から足を洗って…

牡蠣フライの思い出

先週この記事を拝見して、週末は絶対に牡蠣フライを揚げよう! と思いました。www.asahi.comスーパーに行くと牡蠣は「加熱用」と「生食用」の二つが売られていて、かつて私は、鮮度がいい方が「生食用」だと思って、いつもこちらで牡蠣フライを作っていたの…

語学の先生がふと口にする妙諦

フィンランド語を細々と学び続けて10ヶ月ほど。これまで通っていたクラスは昨年末で最少催行人数を割り込んでしまったとかで開講されなくなってしまいました。語学のクラスって、初級から中級にさしかかるあたりで継続する方がぐっと減るんですよね。東京都…

ブラボーおじさんと雑音許せないお兄さん

昨晩はキット・アームストロング氏のピアノリサイタルに行ってきました。プログラムはクープランのパッサカリア、 バッハのトリオ・ソナタ、フォーレの「9つの前奏曲」ほか、17世紀イギリスのウィリアム・バードのチェンバロ曲や、リストの「バッハの動機に…

「良記事」における据わりの悪さ

「良記事」という言葉があります。SNSなどでブログなどの記事を引用する際に「役に立ついい記事だから、みなさん読みましょう」といったニュアンスで使われる言葉です。「良い記事」だから「良記事」で名詞みたいですけど、「とても良記事」とか「たいへん良…

太るための“吃得精”

朝一番の授業は9:10に始まるんですが、留学生のみなさんはたいがいぎりぎりまで朝食を食べています。特にアジア圏の留学生のみなさんは、お国でも手軽な外食文化が発達していて自宅で朝食をとることが少ないからか、ほとんどの人がコンビニやファストフード…

藍と白の世界——アラビアと白山陶器

フィンランドにアラビアという陶磁器メーカーがあります。北欧なのにアラビアってのが不思議ですが、その由来がこちらのウェブサイトで紹介されていました。 創業当時工場の周辺がスウェーデン人の別荘地だったそうで、遊び心で通りに世界の都市の名前を付け…

理屈だけではない何か

食材にこだわって盛り付けにもこだわって、とっても「凝りまくり」なんだけど、あまりおいしくない料理ってありますよね。昨年だったか、『マツコの知らない世界』の「たらこパスタ」がテーマだった回で、最高級たらこをはじめ、最高級パスタ、最高級のり、…