インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

キッチンのあり方をめぐって

更新されるたび、いつも読みに行っている社会派ブロガー・紀行文筆家、ちきりん氏のブログ「Chikirinの日記」。昨日の記事はご自宅をリノベーションした際に考えられたという今とこれからの「キッチン」のあり方についてでした。

chikirin.hatenablog.com

コンロの魚焼きグリルなどという「超」使い勝手のわるい代物をいつまで残しているんだというご意見には、思わず「その通り!」と叫んでしまいました。本当にあれは使いにくいです。小さいし、扱いにくいし、激しく汚れるくせに掃除しにくいし。うちのキッチンにもついていますが、入居以来一度も使ったことはありません。魚を焼くときはオーブンを使っています。オーブンシートを使えばくっつかずにきれいに焼けるし、掃除も楽だし。

また調理家電を使い回す現代に合わせて、調理家電を置くスペースを考えてキッチンが設計されるべき、というのも同感です。いまだに加熱方法がガスコンロだけというのは、考えてみれば確かに時代が何十年も止まった感じがしますよね。私も上述のオーブンは奮発して大きめの、電子レンジ兼用のものを買ってもう長い間愛用しています。野菜の下ゆでなどはほぼ全て電子レンジで行い、パンを焼くのも、粉物の生地を発酵させるのも、解凍するのも全部これ。多機能かつ高性能のオーブンレンジはかなり便利です。

またお湯を沸かす電気ケトルでゆで卵も作っちゃいますし、炊飯器はご飯以外にも低温調理にも使います。この3つの調理家電(オーブンレンジ・電気ケトル・炊飯器)でかなりのことができるので、確かにちきりん氏がガスコンロはなくても「なんとかなるかも?」と思われるのもわかるような気がします。そういう意味でも、賃貸情報などでキッチンの仕様が単に「ガスコンロの口数」だけというのは、激しく時代遅れなのかもしれません。

でもその一方で、私はガスコンロでの、焼いたり炒めたり煮たり蒸したり揚げたり……も大好きなので、最低二口、できれば三口のガスコンロもキッチンに必須です。これはもうその人の炊事観(?)の違いですね。私はちきりん氏が家電に求める「放置できること」という価値にはそれほど重きを置いていないのです。忙しい人にとっては、炊事にかかりっきりになる(ガスコンロに張り付いてる)なんて「生産性のかけらもない!」ということになるのでしょうけど、私は炊事自体が人生の楽しみであり、息抜きであり、ストレス解消法なので、ガスコンロの火を操るプロセスがなくなると、寂しいです。

また現代の調理家電がものすごく進歩していることは分かりますが、例えば味噌汁を煮て、沸騰直前をみはからって「煮えばな」をいただくとか、天ぷらを揚げるときに天ぷら生地の沈み具合や油の弾ける音で温度を測って火を調節するとか、こういうのはガスコンロでないとやりにくい。IHクッキングヒーターも持っていてこれも結構便利ですが、火力を臨機応変に調節するとなるとガスコンロにはまだまだかないません。

でもまあこれも炊事観というか料理観というか、その人がどこに価値を置くかで変わってくることですよね。それに昨今のガスコンロも結構進化していて、センサーで温度調節や温度設定ができたり、とろ火が消えたら教えてくれたりと、必ずしもコンロに張り付いていないと調理ができないわけでもないんですよ。

とまれ、ちきりん氏の慧眼にいつもながら敬服したと同時に、やっぱり価値観の違いというものはあるんだなあと思った次第です。でもこれは、ちきりん氏が以前に書かれていた、「自動運転を目指すトヨタとグーグルの違いは、車の運転が好きかそうでないか。ルンバが画期的だったのは、掃除なんてしたくない人のために商品開発したから」というのに通底するお話だと思いました。要するに私は炊事や料理が好きでたまらない人間なんですね。

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