インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

スマホ依存症だった私

先日「朝活」のジムで筋トレをしたあとにサウナに入っていたら、サウナ内に設置されているテレビで朝のワイドショー番組が放送されており、こんな話題を取り上げていました。映画館での映画上映中にスマホをいじる客が迷惑だという話題です。すでに「まとめ」もできていました。

togetter.com

なるほど、二時間前後になる映画の上映時間中も、スマホをチェックしたい気持ちが我慢できないと。でも暗い館内でスマホを立ち上げると、けっこう明るくて鑑賞の邪魔になり、確かにこれは迷惑です。

ワイドショーでは、せっかくお金を払って映画を見ているのに、またどうして……といった意見がある一方で、それほど気にならないという声や、緊急時にスマホが使えないと困るから電波を遮断することもできないといった視点も紹介されていました。私は、これはもう「依存症」として何らかの対策や治療が必要な段階になっていると思います。

私の職場でも、留学生が授業中にスマホをいじるのはごくありふれた日常風景になっていて、たった50分の授業一コマでさえ我慢できずについ……という方はかなり多いです。教師によっては授業の最初に「禁スマホ」を宣言して学生のスマホをひとところに集めて保管しておき、授業後に返すということをやってらっしゃる方もいますが、私は面倒くさいのでノータッチ。

それにきょうびの学生さんは辞書というものを持っていない(語学学校なのに、ほぼ100%持っていません)のでスマホが辞書がわりですから通訳や翻訳の授業では時に使わざるを得ないですし、そもそも義務教育でもないので、学びたい方が学べばいい、授業そっちのけでスマホに興じるのも完全にその方の自由(ただし真面目に学びたい他の学生の邪魔をすることは許しません)だと思っているからです。

授業中どうしてもスマホに手が伸びてしまう留学生をそっと観察してみると、大概はSNSやメッセージアプリの確認に費やしているようです。中には授業中にも関わらずゲームに興じるという剛の者もいますが。上述のワイドショー番組でも紹介されていましたが、「なにか起きていないか気になる」とか「大事な連絡をスルーするのがこわい」などでSNSやメッセージをチェックする、それも頻繁に……という方は多いようです。

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https://www.irasutoya.com/2014/07/blog-post_3699.html

いま私は「という方は多いようです」などと、まるで他人事のように書きましたが、実はこうした「依存症」とも言えるような状態、つい最近までの私にもありました。SNSを一番頻繁に利用していた頃は、まさに一時間に何回も、いえ、もう数分に一度という割合で、スマホやパソコンからチェックをかけてしまうのです。さっき見たばっかりなんだから、さしたる変化などないはずなのに、チェックしたくてたまらなくなる。

しかも、あるSNSをチェックしたら(もちろん変化なし)、別のSNSに行ってチェックし(こちらも変化なし)、新着メールが届いていないかどうか確認し、お気に入りに入っているブログが更新されていないかどうか見に行き、そのブログのリンクから別のサイトへ飛んでニュース(それも、どーでもいいような)を読み、そこからまた面白そうな話題に飛んで……いるうちに、最初にチェックしたSNSに変化がないかどうか気になってまた確認しに……という無限ループです。これを「依存症」と呼ばずしてなんと呼びましょうぞ。

あまつさえ、朝起きた瞬間にスマホを手にとってSNSのタイムラインを確認し、ついには夜中に目が覚めたときにさえ確認するに至って、さすがに「これはまずい」と怖くなりました。それで利用していたSNSのほとんどを退会し、スマホやパソコン以外に興味を向けるよう自分で自分を叱咤しつつ、徐々に「依存症」から抜け出せるようになりました。

そして最近、カル・ニューポート氏の『デジタル・ミニマリスト: 本当に大切なことに集中する』を読んで、そうした「依存症」を引き起こす原因のひとつが、ネットや、ことにSNSに仕掛けられた「注意経済(アテンション・エコノミー)」の為せる技だとハッキリ悟って、ほぼ「依存症」を克服した次第です。ほぼ、というのは、まだこのブログやTwitterを利用しているからですが、いまではスマホによる「ながら」はほとんどなくなり、自律的に使える時間が増えたという強い実感を持てるまでになりました。

qianchong.hatenablog.com

折しも昨日、「ゲーム依存」に関する初の全国調査が行われたというニュースに接しました。一日のうち、ゲームに費やす時間が長いほど仕事や健康に悪影響を及ぼしている実態が明らかになり、こうした生活にまで影響を及ぼすゲームへの依存は、すでにWHO(世界保健機関)が「ゲーム障害」という病気として認定し、対策を求めているとのこと。

www3.nhk.or.jp

いまやゲームのみならずSNSなども含めたスマホへの依存をきちんと「依存症」であると位置づけ、救援策を考えておくべき段階に至ったのではないでしょうか。上述の映画館でのスマホいじりを我慢できない方々や、自分の周辺にいる留学生を見ている限り、これは後々ものすごく大きな問題になっていくのではないかという予感がします。