インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

今はまだ本気出してないだけ

世界各地から集まった留学生が文化祭で披露する日本語劇、いよいよ本番の日を迎えました。ここ数日は舞台の設営やリハーサルを行ってきたのですが、ここに来てようやく、なんとか形になってきました。本番直前なのに「なんとか」というのも情けない話なのですが、留学生のみなさん、特に若いみなさんはエンジンがかかるのがやけに遅いんですよね。これは今年だけでなく、毎年の傾向です。

お芝居の練習自体は夏休み前の「台本読み」から始まっているのですが、この時点ではまだみなさん、まるっきりローテンションです。演劇訓練が語学や通訳にもつながっているという、その課題の意義は十分に説明してあっても、うぜー、やりたくねー的な雰囲気を全身で醸し出している方が8割ほど。残り2割のうち1割が「マジメさん」で普通に取り組んでいる方。そして最後の1割が「面白いですね! 今から楽しみです!」とこちらの期待以上に乗り気な方です。

で、長い夏休みをはさむと、せっかく入りかけた台詞は帰省や旅行など楽しい夏の思い出とともにどこかへ吹っ飛んでしまい、秋から台本読みを、それも「この漢字、なんて読むんでしたっけ」「『とりわけ』ってどういう意味?」あたりから再開。一回休みのうえ振り出しに戻る、という感じです。その後も、人前で話す恥ずかしさが抜けず、大きな声でハッキリと話す元気が出ず、本番の一週間ほど前になってようやく「ああ、この台詞はこの人に言っているのか」が分かり始め、台詞に感情が乗り始め、手足が動き始め……ああ、胃が痛い。

そしてリハーサルをやっているここ数日で、ようやく観客(今の時点ではクラスメートや教師たちのみですが)にウケる楽しさを体感し始め、「じゃあ衣装はどうする?」的な相談が始まり、台詞のテンポが良くなってくる(それでもまだ台詞が飛んじゃう人がちらほら)……う〜ん、実にスロースターターです。スローすぎる。言葉は悪いですけど、私たち教職員は、常に「てれてれ」と歩く羊の群れを様々な方向から追い立てるシェットランドシープドッグみたいな気分なのです。

本当は、私たち教職員がこうやってバウバウと吠えながらお尻を叩き続けなくても、留学生自身が自発的にどんどん動いてほしいんですけど、なかなかに「打てども響かず、笛吹けども踊らず」なのです。まあこれは、私たちが必死でグイグイ引っ張ろう、追い立てようとするから却って自発性を欠いているような気もするんですけどね。

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ともあれ、どうにかこうにか本番の日を迎えました。昨日のリハーサルではようやく舞台になにかが降りてきたような感覚を味わいましたが、この段階に至ると逆に怖いのが「内輪受け」の小手先なギャグに走ることです。セリフ以外のアドリブを入れたり、細かいウケ狙いの動きをしたりしがちなんですけど、これは客席がいちばん「引く」んですよね。それだけは気をつけてねと手綱を引き締めてリハーサルを終えました。

ここまでくれば、舞台は役者のものです。私たちはもう口を出しません。さあ、今日と明日は思う存分やっちゃってください。

D館の「D38」教室です。

  世界三大料理 通訳機械の反乱
11月3日(日) 13:00/14:00 13:30/14:30
11月4日(月) 10:00/11:00/13:00/14:00 10:30/11:30/13:30/14:30

http://www.bunka.ac.jp/contents/2019bunkasai.pdf

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