インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

脱いだらすごいんです

不定愁訴(ふていしゅうそ)」という、文字面のインパクトが半端ではない言葉があります。特にこれといった病気ではない(らしい)ものの「なんとなくしんどい、体の調子が悪い」という状態のことです。いちばん有名なのはいわゆる「更年期障害」だと思いますが、これは女性のみならず男性にもあるらしく、それが常態化すると本当に辛い。じわじわじわじわ……と体の不調が続くのです。ちょうど2年前の私がその状態でした。

偏頭痛や肩こり、腰痛は若い頃から時々悩まされて来ましたが、「更年期」に入ってそこに体のだるさや膨満感、頻繁におこるあくび(といって眠いわけではない)、のぼせのような症状が加わりました。さらに肩こりが悪化して夜も寝られないほどになり、腰痛治療のためのカイロプラクティック通いが頻繁になり、だるさで仕事の効率が目に見えて落ちるに至って、ようやく決心しました。「運動しよう。これはもう身体を動かすしかない」と。

もともと運動やスポーツが苦手で、身体を動かすのが億劫で仕方がありませんでした。通勤途中、申し訳程度にひと駅分やふた駅分ほど歩くというようなことはやっていましたし、食事もほとんど自炊で食材にも気をつかってはいたのですが、もうそんな程度では解消しないくらい不定愁訴がひどくなっていたのです。それで、人づてに知った小さなトレーニングジムに通い始めました。基本的には運動選手の調整を行なっているジム兼治療院なのですが、運動選手以外の私みたいな人にも一対一で体幹レーニングや「筋トレ」を指導してくれるのです。

それからは最低でも週に二回、多いときは三回も通うほど「ハマって」しまいました。ひとつにはマンツーマンだから「相手がいる」ということでサボりにくくなるのが良かったのだと思いますが、なんと言っても不定愁訴がみるみる解消されていくその爽快感が大きかったと思います。最初は「全く動いていません」と言われた肩甲骨が、現在では「気持ち悪い」と言われるくらいぐりぐり動くようになり、気がついたら肩こりがほとんどなくなっていました。

中年のおじさんに特有のぽっこりしたお腹はなかなか引っ込みませんが、それでも多少はジーンズやパンツの腰回りがゆるくなりました。トレーナーさんによると、お腹は一番贅肉がつきやすく、かつ一番贅肉を落としにくい部分なのだそうです。確かに腕や足と違って、大きく大胆に動かすことができないですからね。

f:id:QianChong:20190930125110p:plain
https://www.irasutoya.com/2018/10/blog-post_87.html

不定愁訴が鳴りを潜めてからは、「何歳になっても筋肉は成長します」というトレーナーさんの甘言(?)に乗せられて、筋トレもはじめました。筋トレをして多少なりとも筋肉がついてくると「せっかくあれだけ苦労してつけたんだから」という心理が働くのか、食べるものも「高タンパク低糖質」を心がけるようになります。家族の分も一緒に作っているのであまり極端なことはできませんし、する気もないのですが、ご飯や麺類を「ど〜ん」と食べることはなくなりました。

先日、職場の健康診断があったのですが、この1年で体重が5キロ近く増えていました。ジムに通っていて、炭水化物の摂取を減らしたのに太っちゃ世話ないわと言われそうですが、お腹周りはさほど変わらないのです。つまり筋肉がついた分だけ体重が増えたんですね。なのに昔からの中肉中背という外見はほとんど変わっていないところが面白い。だから周囲からも「そんな、ボディビルみたいなことやって、マッチョになってどうするの」みたいなツッコミは全く入りません。外見的にはほとんど変わらないのですから。

それでも、先日スポーツマッサージみたいなのを受けたときには、施術してくださった先生から「着痩せするタイプですね」と言われました。外見からはあまりわからないけれど、肩や胸や背中にけっこう筋肉がついていますねと。おお……これからもトレーニングを頑張ろうと思います。そしていつか、一度言ってみたかったこのセリフを言うのです。「私、脱いだらすごいんです」。