インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

始めてみて初めてわかる

旅先で「極東ブログ」さんの記事を読んでいたら、こんな本が紹介されていて興味を持ったので、Kindle版を買って飛行機内での時間つぶしのお供にしました。

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finalvent.cocolog-nifty.com

finalvent氏のおっしゃるとおり、この本は典型的な「自己啓発本」なのですが、なかなかに含蓄のある一冊でした。finalvent氏は「一読して読者の心に響くのは、そのうちの2、3個くらいかもしれない。でも、その2、3個が、かなり決定的だろうと思うのだ」ともおっしゃっていますが、これも同感です。

私の心に響いた2、3個のうちのひとつは、冒頭に出てくる「何を書くかというアイデアは、『考えているとき』にではなく、『書いている最中』に浮かぶ」という点です。これはもう本当にそのとおりで、私など毎日ブログを書いている時、まさにこの法則に身を委ねていることを実感しています。何を書こうかと考えてもあまり案は思いつかないのに、書き始めると次々に書きたいことが湧いてくるのです。

コラムニストの小田嶋隆氏がこんなことをおっしゃっています。同じ法則を述べていらして、これはある種の「真理」をついているのだと思います。

(原稿を書くときにいつも気づくのは)自分は、物を書いている時のほうが頭がいいんだなっていうこと。頭がいいんだなって言うとちょっとアレですけども、結局、文章を書くことによって気づくことがすごくあるっていうことですよね。(中略)


まずあらかじめ頭の中にあることを伝えるために外に出すっていうふうに考えがちだけども、実は書いているうちに、書いている段階で「ああそうだ」と気がつくことのほうがずっと多いんだと。


ラジオデイズ『タコ足ライティング・オリエンテーション「人生とビジネスに効くコラム」』
http://www.radiodays.jp/item_set/show/718

しかも上述した『Think clearly』のロルフ・ドベリ氏は、この法則が「人間が行う、ありとあらゆる領域の活動に当てはまる」とも言っています。これも深く頷けるところで、どんな仕事も勉強も趣味や遊びも、とりあえず始めてみないとわからない、というか、始めてみて初めて次にどうすべきかが分かるし、その過程で徐々に身について行く、あるいは収穫できていくんですよね。最初から到達点まできれいにルートが見えていることはほとんど、いや、まったくないと言っていいと思います。

通訳学校でもよく「私はまだまだ実力が……などと言っていて仕事を承けないでいると、いつまでたっても上達しない。どんどん現場で学んでいくべき」などと言われるのですが、同じことを言っているのだと思います。一歩踏み出してみて初めて見える風景みたいなものが確かにあるんですね。

はい、今日のこのブログも、最初に書こうと思っていた内容とは違うところに来てしまいました。最初はSNSのことを書こうと思っていたのですが……でもまあそれでもいいのです。SNSのことはまた改めて書こうと思います。