インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

シャドーイングにご用心

外出しているときは、たいていイヤホンを耳に装着して音を聞いています。音楽を聴いたり、能の謡を覚えるために聴いたりすることもありますが、たいていの場合は語学教材の「シャドーイング」をしています。中国語を使う仕事に向かうときは、速めの中国語教材をずっとシャドーイング。なんだかんだ言って“土生土長的日本人(生まれも育ちも日本の人間)”なので、朝一番で「どんっ!」と中国語が出てきにくいため、口慣らしというか「暖機運転」をしているのです。

最近はフィンランド語の教科書の音声を繰り返し聴きながらシャドーイングしていることが多いです。フィンランド語は語形変化が激しいので、教科書の文章を丸暗記してもあまり応用が利きにくそうなのですが、とにもかくにもフィンランド語の音に慣れるために、そしてフィンランド語の語感を身体に染みこませるためにシャドーイングしているのです。

ただし往来でシャドーイングするときは、あまり大きな声は出せません。出してもいいけど(雑踏では結構な声量でやっています)「変なおじさん」になっちゃうので、特に電車の中などでは口中で「もごもご」と、あるいはごくごく声量を絞った小声でシャドーイングしています。が、時折夢中になって興が乗ってくると声が大きめになっているらしく、電車内などで「何、この人?」的に振り向かれることがよくあります。

f:id:QianChong:20190622153859p:plain
https://www.irasutoya.com/2013/06/blog-post_5366.html

先日はスーパーで夕飯の食材を物色しながらシャドーイングしていたら、見知らぬおじさんがこちらを睨んでいるのに気づきました。それでも気にせず小声でシャドーイングしながら買い回っていたら、なんとそのおじさんが声をかけてきました。いわく「なんかオレに文句でもあるのか」。どうやらシャドーイングしていたフィンランド語が、そのおじさんへの悪口に聞こえたみたいなんですね。

私は最初おじさんから声をかけられたことにも気づかず(だってイヤホンで音を聞いてるんですから)、何度か声をかけられてようやくイヤホンを外して「はい? 何か?」と応じたのですが、その様子を見ておじさんも「なんだ、ひとり言を言ってるのか」と言い捨てて向こうへ去って行きました。勘違いしたことが気恥ずかしそうなご様子でした。私は思わずその背中に「すみません、語学のシャドーイングをしてたんです」と返しましたが、全然説明になっていなかったですね。だって「一般の方」にとって、外語をシャドーイングするという行為そのものが理解の範疇を超えてますもの。

いやはや、見知らぬおじさん、ごめんなさいね。それにしても、今後はシャドーイングの「声漏れ」にもう少し気をつけようと思いました。あらぬ誤解を招いて、後ろから刺されたりしたらシャレになんないもの。