インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

健身房裡面面觀

タイトルの中国語は「トレーニングジムに見るあれこれの人間模様」みたいな意味です。

「男性版更年期障害」による不定愁訴の改善を目指して週に数回のパーソナルトレーニングを一年半ほど続けてきましたが、四月からは「朝活」として職場近くのジムにも通い始めました。朝活なのでトレーニング時間はわずかなものですが、朝から身体を動かすと少なくともお昼まではかなり調子がいいです。あとはお昼ご飯を食べたのち、夕方までの不調を何とかしたいところです。

お昼を食べなければ夕方まで爽快なのですが、これはしばらく続けてみて逆に体重が減る(当たり前ですが)ことが分かったのでやめました。周りからは「体重減った方がいいじゃない」と言われますが、そうするとせっかくトレーニングでついた筋肉も減るのです。身体が危機感を抱いて筋肉から栄養を取ろうとするんですね。別にマッチョになるのが目的じゃないんですけど、せっかくついた筋肉は減らすのがもったいなく思えてくる……これは筋トレしている方に共通する心理みたいです。

朝活していると、いろいろな方がいるのに気づきます。ジムには目もくれず一直線に「スパ&サウナ」(要するに銭湯みたいなものです)に向かう方、筋トレマシンは使わず、ひたすら身体をほぐすことに専念されている方、軌道が決まっていて比較的簡単に使える「マシン」ではなく、バーベルやダンベルなどを使う「フリーウェイと」のコーナーばかり使っている方……。

中国に留学しているとき、朝から市民(お年寄りが多い)が大学のグラウンドでそれぞれの健康法とおぼしき体操をやってらっしゃったのを思い出しました。太極拳をする方、鉄棒をする方、トラックを走る方、トラックを「後ろ向きに」走る方、樹に身体をぶつける方……。中国の大学は学生や教員だけでなく、学校関係者や退職者やその家族なども一緒に学内に住んでいて言わば一つの街みたいになっているところが多いので、朝のグラウンドはとても賑やかなんですよね。ジムはあの光景にそっくりです。

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https://www.irasutoya.com/2013/04/blog-post_8578.html

朝活のジムで私は「マシン」と「フリーウェイト」の両方を使っていますが、フリーウェイトは何となく「玄人感」を漂わせている方が多く、かなり以前に通っていた別のジムでは怖くて近寄れませんでした。尋常ではない(失礼)筋肉をつけた、大抵黒々と日焼けされているおじさんが「はぁああっっっっ!」とか「ふんぬっっっっ!」などの奇声(気合いですか)を発して、これまた尋常ではない重さのバーベルやダンベルを挙げているのです。服装はピタピタのタンクトップに、ダブダブのパジャマみたいなズボンだったりして。

そんな私がフリーウェイトのエリアにも出没できるようになったのは、これはもうパーソナルトレーニングでトレーナーさんに細かくフォームを教えていただいたからです。トレーナーさんによると「フリーウェイトやっている『こわもて』のマッチョさんたちは意外に優しい人が多くて、フォームの相談なんかすると気軽に教えてくれますよ」とのことですが、う〜ん、今のところ私にその勇気はありません。

でもこのフォームはとても重要で、きちんとしたフォームで筋トレをしないと、ほんと、驚くほど効果がありません。まあ全く運動をしないよりはいくらかマシですけど、筋肉は全然つかないのです。これは以前私が別のジムで二年間ほど「自己流」で筋トレをやった結果、証明済みです。そして現在朝活をやっているジムで周囲を見回してみると、大変僭越ながらこの自己流フォームでトレーニングしている方がとても多いことにも気づきます。

そうやって人のフォームの善し悪しが分かるようになったのも、トレーナーさんに教わったおかげですね。「ジムではやたらマシンのウェイトを上げて必死に挙げ下げしている方がいますが、それよりも適度なウェイトでいいですから正しいフォームでやるべきです」。なるほど、ジムはあくまでも自分に向き合う場所であって、他人にウェイトの多さを誇ったり他人と競ったりする場所ではないんですからね。

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https://www.irasutoya.com/2018/10/blog-post_87.html

というわけで、朝から黙々とベンチプレスなどしています。この歳になっても挙げられる数字が徐々に増えていく、つまり身体の機能が向上していくのを実感できるというのはなかなかに貴重なことではないかと思っています。だいたいのことは逆にどんどんできなくなっていくお年頃ですから。ただまあ「誇ったり競ったりするのが目的」ではないので、黙々と、淡々と……を心がけています。