インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

そんなに出世したいですか?

日経ビジネスオンラインで、CMプランナーの岡康道氏とコラムニストの小田嶋隆氏がメインのトーク記事を読みました。「人生の諸問題」というコラムで、長年楽しみに読んできた記事です。今回が一応の最終回とのこと。おお……。

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今回の話題は主に50代のサラリーマンにおける「出世観」なのですが、読んでいて、自分も同じ50代ながらどこか遠い星の物語を聞くような感覚になりました。そんなにみなさん、出世したいんですね? そして多くのみなさんが夢かなわず、失意の日々を送っているんですね? ……って、本当に?

いや、サラリーマンにとって出世が究極の目標であることは理解できなくもありません。以前勤めていた会社でも上司の口癖は「社内で偉くならなきゃ意味ないだろ」でしたし、映画『シン・ゴジラ』でも主人公の矢口蘭堂内閣官房副長官に、松尾諭氏演じる泉修一政調副会長が「出世は男の本懐だ」などと言っていました。

泉氏のセリフはさらに「そこに萌えんとは、君、なぜ政治家になった?」と続くのですが、政治家に限らず、サラリーマンも出世には「萌える」のが普通らしいですね。私は社会人人生のスタートからしてつまづき、足踏みし、その後遠回りし続けて今に到っていますので、出世に萌えるどころか、考えたことすらありません。

そりゃまあ、出世して権力を持てば、あれこれのことがもっと自分の思うままになるかもしれないという野心みたいなものはありますけど、そういう「出世=権力=我が意のまま」という発想をする人間こそ出世して人の上に立っちゃいけないわけでして。私は私の性格からして、権力を持てば必ず恐怖政治を敷く体質であることをよく分かっているので、その意味でも出世とは縁遠いところで人生を歩みたいですし、また実際にそうなっているので本当によかったと思っています。

出世をサラリーマン人生における唯一の指標としなくなれば、人生はラクになります。とはいえ例えば『釣りバカ日誌』の浜ちゃんみたいな在り方は、あれはフィクションだから可能なんであって、実際の組織では出世しないと自分の存在が無価値なものに思えて苦しいということはあるでしょうね。そのまま何十年も組織にいたら精神を病むかもしれません。『ラーメン発見伝』の藤本浩平みたいに具体的な野心があれば別でしょうけど。

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https://www.irasutoya.com/2016/04/blog-post_119.html

いっぽうで、上記のこの記事における小田嶋隆氏の至言は「一言多いやつは出世しない」なんですが、これはその通りかもしれません。初手から出世とは縁遠い存在の私でしたが、様々な職場で一言どころか二言も三言も多くて、その度に「立つ鳥跡を濁しまくり」で転職を繰り返してきましたから。どこか遠い星にいたのは、ほかならぬ自分なのでありました。