インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

「明るくて清潔」な未来を信じてる

初冬から次の年の二月頃までにかけて、四月入学の留学生の入試面接を担当することがあります。その中で、なぜ日本語を学びに留学しようと思ったのかと尋ねると、華人留学生のかなり多くの方が答える第一番目の理由は「子供の頃から日本のマンガやアニメを見て育ったから」です。「ドラえもん」や「名探偵コナン」が最頻出作品ですね。

第二番目は「旅行で日本に来たときに、街がとっても清潔だと思ったから」です。昨今は留学前にも日本へ旅行で(それも何度も)訪れているという方も少なくないんですよね。いやほんと、二十年くらい前から華人留学生と関わる職場で働いてきた私には隔世の感があります。

この「日本の街がとても清潔だと思った」というの、かつては内心「そうですか? 例えば東京でも新宿や渋谷など、けっこう乱れてるけどなあ」などと思っていたものですが、最近は「まあそうかもしれないな」と思うようになりました。中国や台湾でも特に都会は清潔だなと思える場所も多いですが、やはり日本の各地は以前に比べて格段にきれいになったと思います。

私は小学生の頃に、まだ舗装されておらず自動車の轍が残る道路や、道端の「ドブ板」などがあったのを覚えている世代で、駅でも飲食店でも、長じた後は職場でもタバコが吸い放題で、ゴミのポイ捨てや吐痰(おっと、これは中国語でしたか。つまり痰を吐く行為)も今より多かったし、駅には「痰壺」さえあったのも記憶に残っています。いつも拝見しているシロクマ (id:p_shirokuma)氏のこちらの記事にある通りです。

p-shirokuma.hatenadiary.com

その意味では本当にいい時代になったなあと思いますし、これからもどんどんよくなっていくとかなり楽観的に考えています。もちろん現在の日本は政治経済面では何やらきな臭さや閉塞感が立ちこめていますし、「よそ者」に対してかなり冷たい社会ですが、こと暮らしのマナーについては日本人の民度は確実に上がっているし、私がいちばん苦手なタバコ環境の改善もさらに進むものと希望を持っています。

上記のシロクマ氏はこうした状況について、こう述べておられます。

現在よりももっと清潔で健康的で道徳的な近未来の社会では、今まで以上に細かな不清潔や不健康や不道徳が槍玉に挙げられるようになり、現在のタバコと同等かそれ以上の非難の対象になっていくのではないだろうか。

確かにそうかもしれません。電車内での暴力(乗客同士や乗客の乗務員に対する暴力)について、それを戒める啓発ポスターを日々見かける東京の現在は、以前に比べて「細かな不清潔や不健康や不道徳が槍玉に挙げられる」ようになったのかもしれません。

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https://www.kotsu.metro.tokyo.jp/pickup_information/news/pdf/2018/sub_p_20181130_h_01.pdf

ましてや私はこのブログで何度も「タバコの害」や「健康のためのトレーニング」についてエントリを上げていますから、そうした「槍」をやたら振りかざす尖兵になる要素がたっぷりです。実際、タバコや公共交通機関などでのマナーに関しては、正直毎日と言っていいほど軽い殺意を覚えるくらい短気な私です。そのために毎日定刻の一時間半〜二時間も前に出勤しています。満員電車を避けるためだけに。

それでも私はあの昔の記憶にある「快適でも健康的でも便利でもなかった社会」に戻りたくはない(まあ戻れもしません)ですし、そうした規範意識を互いに急進的に押しつけあってドラスティックに社会を変えようとする動きには疑問を呈しながらも、より明るい未来を信じたいと思っています。