インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

健康じゃないと死ぬ

仕事のある日は昼食を食べず、一日二食にしてずいぶん経ちました。十年ほど前から、昼食を食べると夕方まで「膨満感」が続き、身体がだるくて重くて仕事に差し支えるほどになり、思い切って昼食を抜いてみたところ、非常に爽快だったのでいまに至っています。

周りに中国人や台湾人など華人の多い職場で働いてきたので、昼食を抜くとひどく心配され、あるいは驚かれ、ときに「非難」までされます。なにせ“民以食為天*1”を信条とする人たちですから、一食抜くなど天に刃向かうような所業で、どうかしてるんじゃないの? というわけです。

実際、華人の方々の、食に対する思いはちょっと群を抜いているところがあって、例えば現場がどんなに混乱していても、会議がどんなに紛糾していても、食事の時間だけは必ず確保します。仮に日本側が「こんな時にゆっくり食事をしている場合じゃないでしょう。簡単につまめるものでも用意して、議論を続けましょう」などと提案しても「いや、これは人権の問題です」などと言って絶対に譲りません。それほど食べることは至上の価値なのです。

かくいう私も、昼食を全く食べないわけではありません。仕事先でランチに誘われれば応じますし、さすがにお腹がすいたな~と思うときは、ナッツの小袋とか「ソイジョイ」なんかを食べています。ジムのトレーナーさんには「プロテインでもいいですね」とアドバイスされましたが、職場でプロテインのシェーカーをシャカシャカするのは自分でもちょっと「異形」かなと思うので、ときどき、それもこっそり飲んでいます。

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ともあれ、朝食と夕食はきちんと作ってしっかり食べているので、一日二食を長く続けていても特にデメリットは見当たりません。むしろ少し痩せて健康になりました。先日、二年くらい前に作ったスーツを久しぶりに着てみたら、ジャケットが若干タイトに感じられ、逆にパンツは腰回りがこぶし一つ入るくらいダブダブになっていました。ジムでトレーニングを続けているせいかもしれません。

世の中には「健康健康って、そんなに健康になりたいか?」あるいは「健康第一で楽しみを後回しにする人生なんて」みたいなもの言いがあります。私もかつてはそういうふうに考えていた頃もあるので、気持ちは分からなくもないのですが、細君がくも膜下出血で倒れ、自分も「男性版更年期障害」とでも言うべき不定愁訴に苛まされてきた今では、もう堂々と言っちゃいます。「そう。健康になりたい、健康でいたいです」。もうね、ブログ「脇見運転」の酔漢 (id:suikan) 氏がいみじくも書かれていたように「健康じゃないと死ぬ」という感じなんです、私ら。

周囲の華人のみなさんが私の身体を心配してくださるのは本当にありがたいんですけど、私が「昼食を食べない」と言ったときの、あの火星人を見るような視線がちょっと痛いです。“你走你的陽關道,我走我的獨木橋*2”、お互いそれぞれの道を行きましょう。

*1:民は食を以て天と為す:庶民にとって食べることは暮らしの根本、みたいな意味です。

*2:あなたはあなたの「陽関(古代のシルクロードにあった、西域に通じる関所)道」を行ってください、私は私の丸木橋を渡りますから――相互不干渉の例えです。