インタプリタかなくぎ流

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フィンランド語 24 …命令形

新しい課に入って、命令形を教わりました。フィンランドの人々はこの命令形をけっこうよく使うそうです。別に「上から目線」というわけではなくて、むしろ親しみの表現のよう。それだけ人間関係がフラットというかフランクなんですかね。お隣のスウェーデンやロシアなどのように王様や皇帝といった存在を戴かなかったという歴史ゆえかもしれません。

命令形には単数(一人に向かって言う)と複数(二人以上に向かって言う)があるそうです。

単数の命令形

例えば「nukkua(寝る)」を例に取ると……まずこの動詞を一人称単数の形にします。→ Minä nukun.(私は寝る)。この一人称単数の語尾「n」を取ったものが命令形になります。否定はその前に「älä」をつけます。

Nuku !
寝なさい!
Älä nuku !
寝るな!

「lukea(読む)」では……

Lue !
読みなさい!
Älä lue !
読むな!

「ajatella(考える)」では……

Ajattele !
考えなさい!
Älä ajattele !
考えるな!

複数の命令形

相手が複数の場合は動詞のタイプによって異なるそうです。
1)VA、atA、otA、utA、itA タイプ →最後の一つを取って語幹にする。
2)dA(ndA)、stA、lA、nA、rA タイプ →最後の二つを取って語幹にする。

また複数の命令形で重要なのは、動詞の語幹を作る際の「kptの変化(逆転も)」がないことだとか。その上で肯定の場合は「kaa/kää(語幹に aou があれば kaa、なければ kää)」、否定は前に「älkää」をつけたうえで「ko/kö」をつけます。

例えば「nukkua(寝る)」の場合、最後の一つを取って、語幹の「kk」は変化させずにそのままだから「nukku」で……

Nukkukaa !
(あなたたち)寝なさい!
Älkää nukuuko !
(あなたたち)寝るな!

「syödä(食べる)」の場合、最後の二つを取って語幹は「syö」で……

Syökää !
(あなたたち)食べなさい!
Älkää syöko !
(あなたたち)食べるな!

「lukea(読む)」で単数・複数、肯定・否定をまとめると、こうなります。

単数 複数
肯定 Lue ! Lukekaa !
否定 Älä lue ! Älkää lukeko !

※複数の肯定・否定ともに「kpt」の変化なし。

「ottaa(取る)」

単数 複数
肯定 Ota ! Ottakaa !
否定 Älä ota ! Älkää ottako !

「kerrata(繰り返す・復習する)」(rr→rtの逆転が起こる)

単数 複数
肯定 Kertaa ! Kerratkaa !
否定 Älä kertaa ! Älkää kerratko !

こうした命令形の作り方は、すでに出てきていて、例えば「olla動詞」の場合、一人称単数は「olen」で「n」を取って語幹は「ole」、その上で一人の人に「どうぞ」と勧める場合は「Ole hyvä !」、複数の人に勧める場合は「Olkaa hyvä !」なんでした。中国語の“請”ですけど、これも一種の命令形なんですね。

通常の文と通常ではない文

通常の文とは例えばこれ。

Minä luen kirjan.
私は(一冊の)本を読みます。(目的語は単数対格)
Minä luen kaksi kirjaa.
私は二冊の本を読みます。(目的語は単数分格)

通常ではない文、ここでは命令文のことですが、この場合、目的語が一つの場合対格ではなく主格、つまり辞書形に戻るのがポイントだそうです。

Lue kirja !
(一冊の)本を読みなさい!(目的語は単数主格=辞書形)
Lue kaksi kirjaa.
二冊の本を読みなさい!(目的語は単数分格)

ただし……これは目的語が「kirja(本)」のようにまるごと全部読んだり書いたりできるものだからで、例えば「suomiフィンランド語)」だったら、言語全部を話せるというのは理論上あり得ないので……

Minä opiskelen suomea.
私はフィンランド語を学びます。(通常の文・目的語は単数分格)
Opiskele suomea !
フィンランド語を学びなさい!(通常でない文=命令文・目的語はやはり単数分格)

……となるそう。ううむ、ややこしい。

「avata(開ける)」では……

Minä avaan oven.
私はドアを開けます。(通常の文・目的語は単数対格 ovi → oven)
Avaa ovi !
ドアを開けなさい!(通常でない文=命令文・目的語は単数主格=辞書形)
Älä avaa ovea !
ドアを開けるな!(通常でない文=命令文・目的語は単数分格)

「sulkea(閉める)」では……

Minä suljen oven.
私はドアを開けます。(lke → lje、単数対格)
Sulje ovi !
ドアを閉めなさい!(辞書形)
Älä sulje ovea !
ドアを閉めるな!(単数分格)

「tehdä(する・作る)」では……(tehdä → tekeä)

Minä teen sen.
私はそれをします。(単数対格)
Tee se !
それをしなさい!(辞書形)
Älä tee sitä !
それをするな!(単数分格)

命令は目的語に辞書形をとり、否定の命令は目的語に分格をとる。つまり命令形に対格「n」の形は存在しないということですね。

また複数に対する命令形をあえて一人に対して言うと、これは一種の敬語表現になるそうです。面白いです。

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