夏の台湾といえば何はさておき「かき氷!」ということで、今回の旅で印象深かった三つをご紹介します。
廟口冰店
澎湖本島は馬公の中心街、「燒肉飯」で有名な馬路益の手前にある屋台のようなお店です。
シロップのかかった、見た目はごくごく普通のかき氷です。シロップは普通のと黒糖の二種類から選び、さらにトッピングを五種類選ぶことができます。目の前にきれいに並べられたトッピングがまた魅力的で、迷います。
時に長蛇の列ができていますが、店員のおばちゃんたちの絶妙な連係プレーでどんどんお客さんがはけていきます。屋台の後ろのテーブルで食べてもいいし、持ち帰りも可能です。
見た目はシンプルそのもの。五種類のトッピングは氷の下に隠れています。私は紅豆、花豆、薏仁、蓮子、仙草凍という地味な選択をしました。台湾のかき氷はどこでもそうですが、こんなに食べられるかしらというくらい大量の氷。でもこれが不思議に食べられてしまうんですね。
哪兒呀
こちらも馬公市内。お店の名の通り「哪兒呀(どこだよ?)」と少々見つけにくい路地の中程にあるお店です。
ここのかき氷は「雪花冰(氷自体に味がついていて、それをふわふわの食感になるよう削ったもの)」で、驚くほどたくさんの種類があります。しかもかなり「インスタ映え」しそうなおしゃれなものも多いのですが、私は看板メニューでいちばん地味な、でも「招牌(看板メニュー)」だという「ピーナッツ味」にしました。
う〜ん、ピーナッツの香りが素晴らしい。ここも量がものすごく多くて、この大量の氷の中に何か別のサプライズが隠れているわけでもなく、ただひたすら怒濤の「雪花冰」なので、二人くらいでシェアした方がよいかもしれません。
來呷甜甜品
最後はトランジットでちょっとだけ滞在した台北の、こぢんまりとした甘味屋さん。
ここの「蜜芋麻糬燒雪冰(タロイモと胡麻きなこ餅の雪花冰)」がもう本当に絶品。家族で切り盛りしていると思しきアットホームなお店で、お店の人は「こちらに座って」「練乳かけます?」などと親切です。
こういう言い方をするとちょっと失礼ですけど、かき氷って暑い盛りにとにかく涼を求めたい! って側面が強いじゃないですか、味はまあ二の次で。ところが現代のかき氷は、特に優れたお店のそれは味が素晴らしいんですよね。台湾ではそれが雪花冰の質やトッピングの製法にかかっていると思うんですけど、こちらのお店の氷やトッピングは本当に丁寧に作られているのを感じます。
どのかき氷も甘すぎず、しみじみ、ほのぼのとした味わい。フルーツがとにかく美味しい台湾のこと、トッピングてんこ盛りの見映えがするかき氷や、マンゴーどっさりの台湾ならではのかき氷ももちろん大好きなのですが、こうした「低調(ローテンション)」なかき氷にも惹かれるのでした。