インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

しまじまの旅 たびたびの旅 70 ……澎湖北海・憧れの灯台と砂州の島々

台湾の離島・澎湖の、そのまた離島を訪ねるツアー。先日行った「猫の島」虎井嶼に続いて、今度は「北海」と呼ばれる海域の島々を巡るツアーに参加してみました。最北端にある目斗嶼の灯台を目指します。

下の地図は、島と島の間隔が縦方向にぎゅっと圧縮されています。実際にはかなり離れた場所に点々と散らばっている感じです。

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https://travel.network.com.tw/main/travel/penghucounty/

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澎湖本島北部の「岐頭遊客中心」から出航して、最初に向かったのは鳥嶼の手前にある砂だけの島。この島は比較的最近出現したそうで、引き潮の時間には鳥嶼まで長い珊瑚の砂州「澎澎灘」が現れてつながるそうです。ガイドさんは「摩西分海(モーセの海割り)」と言っていました。

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ここに限らず、澎湖では貴重な自然環境をなるべく破壊しないよう、観光客の上陸を制限している場所が多いようです。ここも船から眺めるだけで次に向かいました。砂州も現在のところ立入禁止だそうです。

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鳥嶼の沖でガイドの若者たちが海からカゴを引き上げていました。前の日に仕掛けておいた蟹カゴで、ここで捕れた蟹はお昼ご飯で供されるんだとか。

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次に向かったのが險礁。「危険な」という名前に似つかわしくない、こちらも砂だけの島ですが、船を接岸させるのがなかなか難しいのでこの名前があるそうです。ここはドラマ『原味的夏天』のロケ地になったところで、撮影時に建てられた民宿のコテージが今も残っています。現在は改修中とのことで、ここも上陸はしませんでした。

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その先に長く伸びた砂州で有名な吉貝嶼があり、砂州では大勢の若者がマリンスポーツに興じたり、ドラマの主人公よろしく砂州を散策したりしていましたが、参加者の年齢層が比較的高い我々のツアーは沖から眺めるだけであっさりスルー。観光局の写真だけ貼っておきます。

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https://www.penghu-nsa.gov.tw/ScenicSpotDetail.aspx?Cond=1b4a87a6-6631-4e9b-b305-ecacd2f00364&DistrictCategory=cb31c85a-f4bd-420b-9aa2-fcfe9274fbb2

とはいえ、まったく砂州で遊べないのも不満が出ると思ったのか、船長さんが急遽ツアーを改変して北海の西端にある鐵砧嶼と姑婆嶼に向かいました。海上のツアーは天候などで海の状況が刻々と変わるため、こうやって船長の判断で改変が行われることがよくあります。

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鐵砧嶼は平べったい形の岩礁のみの無人島で、中央部に波が削り取ってできた洞窟があります。船長さんの絶妙のコントロールで舳先を洞窟につっこむというアトラクションを敢行。

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波もあるのでけっこう危ないですが、みなさん歓声を上げて洞窟の天井に触れていました。ミーハーな私も触れてきました。

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次に今日一番のおめあて、美しい灯台がある目斗嶼を目指します。この灯台は、日本が台湾統治時代(1895〜1945)に、最初に建てた灯台だそうです。

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孤島にすっくと立つ灯台の、何と凛々しいことか。そういえば余談ですけど、真っ直ぐに、勢いよく立ち上がっているさま、ないしは動きを「すっくと」と言いますよね。ところが、以前見つけた灯台の写真集では「すくっと」がタイトルになっているんですよね。


ライトハウス すくっと明治の灯台64基 (World architecture)

「すくっと」と言えるかなあ……とネットで検索してみると、どちらも「あり」みたい。勤め先の日本語の先生方にも聞いてみましたが、むしろ「すくっと」派の方が多かったです。う〜ん。

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閑話休題。ここではおやつのケーキが配られました。

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その後船は一路南下して、今朝がた海から眺めただけだった鳥嶼に上陸、ここでお昼ごはんになりました。

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お昼ごはん、といっても、海鮮のお粥と煮干しの副菜だけなんですけど……一緒のテーブルに座った若い台湾人カップルが「これだけ? 真的假的(マジかよ)!」と言っていました。まあでもお粥は美味しかったです。

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それにさっきカゴで採った蟹が蒸されて供されました。こちらはたっぷりあって、私たちのテーブルは人が少なかったのでたくさん食べることができ、台湾人カップルも機嫌が直っていました。

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そのあと電動カートで鳥嶼の高台へ。野生の山羊が群れていました。

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港に戻ると、地元の子供たちが海に飛び込んで遊んでいました。

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さらに船は隣の員貝嶼にも寄り、ここでは島一周の散策に出かけました。

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誰もいない光景がすてきです。

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引き潮の時間になったのか、沖に鳥嶼とそこから伸びる砂州が姿を現し始めていました。

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手前にある自然の石柱は筆の形をしているので「石筆」と呼ばれ、隣にあるくぼんだ地形の岩を「石硯」、この地方独特の黒い玄武岩からなる柱状節理を「石墨(目の前の海は墨汁に見立てるそう)」、そして沖に見える白い砂州は「白紙」ということで、ここは「文法四宝」が揃っているんだそうです(ややムリヤリですが……)。

で、かつては大学受験者がここまでやってきて合格祈願をしたのだとか。昔は大学の合格率がかなり低く、ここで祈願をするとかなりの高率で合格するので有名だったそうです。もっとも現在では台湾の大学も一部を除いて「全入時代」に入っているので、そうした祈願者も皆無になったと言っていました。

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岐頭の港に戻ってツアーは終了です。派手さはあまりない地味なツアーですが、なかなか味わい深いものがありました。たったひとつだけ、ツアーの最初から最後まで船長さんがマイクを握って大音量で喋り倒すのがちょっと……すごく話が上手だし、まるでお笑いバラエティのMCみたいに笑いを取るんですけど、もうちょっと静かに海を見ていたかったです。

でも、周りの華人観光客のみなさんは、だれひとり気にするふうでもなく……これは常日頃から密かに感じていることですが、華人のみなさんって、常に話し続けてないとむず痒いというか、落ち着かなくなっちゃう体質の方々なんじゃないかな。回遊魚じゃないけど、話し続けていないと死ぬ、みたいな*1

docs.google.com

*1:まあこれは冗談です。もちろん一般化はできません。知人の華人には寡黙な人もいますから。