インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

台湾の若者はあまりジーンズを履かないの?

昨日「中国語圏で中国語を話すと、みなさん自分の地元以外の人間だと決めつけてくる」という話を書きましたが、これは私が拙い中国語を口にしているからで、逆に何も話さないでいるとこれはもう間違いなく「日本人」だと認識されます。

qianchong.hatenablog.com

中国に留学しているときはいわゆる「日本人バレ」するのがちょっとだけ悔しくて、ムリヤリ現地に溶け込もうとしていました。現地の人たちと同じような服装をしたり、路上の激安散髪屋さんで髪を切ったりして。その結果、現地の方からもちょっと引かれてしまうほどの滑稽かつ出身地不明の怪しい風体になってしまったのは自分の「黒歴史」として永遠に封印しておきたいと思います。

ともあれ、その後はそうした歪んだ自意識は影を潜め、今ではごくごく普通の格好をするようになりました。旅行で中国語圏を訪れるときも、特に着飾りもしない、かといってことさら現地っぽくもない、普段の生活の延長(=ユニクロ率高め)でうろうろしていますが、それでもどこかのお店に入れば必ず日本人だと認識されて、英語か日本語で対応されることが多いです。あるいは黙って日本語のメニューを出してくださるとか。

まあユニクロだっておしゃれと言えばおしゃれで、それが日本人感を醸し出しているのかも知れません。しかし例えば台湾の田舎で、Tシャツに短パンにビーチサンダルであってもけっこうな確率で「日本人バレ」するんですよね。アレはどうしてなんでしょう。

顔の造作で判断しているのでしょうか。以前中国の友人に聞いた話では、日本人男性はもみあげの下のところが大概「青い(濃い髭を剃った後みたいな感じ)」のですぐに分かるといっていましたが、日本人男性のみんながみんな「青い」わけでもないですよね。他にも日本人男性は顔にホクロが多いとか、眉毛が整ってるとか、えり足が「無造作っぽい」とかいろいろな説を聞きましたが、どれも一般化するには少々無理があるような気がします。

例えばこちらに中国人・韓国人・日本人を写真だけで見分けるテストがあるのですが、やってみるとかなり外れてしまいます。

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TEST : Sais-tu différencier les asiatiques ? — Chine Informations

台湾の街角でなぜすぐに「日本人バレ」してしまうのかについて、台湾の友人は「都会感じゃない?」と言っていました。顔つきや髪型や服装や持っているものなど全体の佇まいが醸し出す「都会的」な雰囲気が「日本人っぽい」のではないかと。私自身は特に都会っぽい感じではないと思いますが、それでも確かに台湾の男性は、特に私と同年代の男性は、失礼ながらあまり服装にこだわってらっしゃらない様子はありますね。まあこれは私がつとに憧れているところでもあるのですが、あまり他人の視線を気にしていないというか、まわりに合わせようとか空気を読もうとかしていないというか。

そうしたら、先日読んだ『台湾の若者を知りたい』という本に興味深い記述がありました。この本は岩波ジュニア新書の一冊ということで、日本の同世代の若者向けなのですが、私のような世代が読んでも面白かったです。特に台湾の高校や大学の学校生活については、台湾の方と仕事をしていても知る機会は少ないので、いろいろと発見がありました。


台湾の若者を知りたい (岩波ジュニア新書)

この本の中でとある台湾の男子高校生お二人がインタビューに答えてこう言っています。

——私服では何を着ているんですか。


姜君「冬は長袖Tシャツ、下はジーンズ以外ならなんでもはきます。ジーンズはきついからはかない。私服でも制服でも靴はスニーカー」


呉君「Tシャツ、フードつきスウェット。暑いから、ジーンズははきません。あまりブランドは気にせず自分が気に入ったものを買っています。服は自分で選んで、服代は両親が支払います」

なるほど、ジーンズは履かないと。まあ台湾でも履いている若者はいるし、留学している台湾人留学生もけっこう「ジーンズ率」は高いですが、言われてみれば確かにジーンズは分厚くて南国向きじゃないですよね。そういえば私は真夏に台湾を旅するときもほとんどジーンズでした。「日本人バレ」する最大のアイテムはこれだったのかな? 台湾の若者の「ジーンズ率」については、今度旅したときに確認してみようと思います。