インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

お能の温習会

趣味でお稽古をしている「お能」ですが、今年も年に一度の温習会(発表会)が迫ってきました。年に一度ですからそれなりに気合いも入ってはいるのですが、なにせ仕事や家事に追われる毎日で、ろくに自宅で稽古もできません。まあ時間があったってそんなに大した稽古はできないのですが。というのは、自宅があまりにも狭すぎるから……。

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お能の舞台は三間(約六メートル)四方。お弟子さんの中には何とご自宅に練習用の能舞台を持っているという「超弩級」の方もいらっしゃるようですが、そこまで行かなくても温習会が迫ったこの時期、地域の公民館などを借りて「自主練」に励む方は多いそうです。私もかつてはダンススタジオの一室を借りて練習したこともありましたが、なかなか予約が取れませんし、時間に追われて落ち着かないですし、なによりお金がかかりすぎる……ということでもっぱら休日に自宅で練習しています。

自宅でといったって、単にリビングのテーブルや椅子を片付けて、天井から吊っているペンダントも取り外して、ほんの四畳半ほどのスペースを確保するだけですが。それでもまあ床がフローリングなので能舞台っぽい感触は得ることができます。あちらは総檜、こちらは合板ですけど。あ、でも足袋を履いてすり足を繰り返していれば、フローリングの掃除にはなります。

それはさておき、あまりにも狭いので数歩動くともう壁にぶつかります。お能の舞は基本的に直線あるいは曲線を描きながら進んでは曲がるということを繰り返すのですが(というとあまりにも大雑把ですが)、うちは狭いのでその曲がるところしかちゃんと練習できません。何足も進むところはその場で足踏みして「進んだつもり」に。他にも「舞台の隅へいったつもり」「真ん中へ戻ってきたつもり」、足で拍子を踏むところもあまり強く踏むと階下から苦情が来そうなので「踏んだつもり」……こういうのばかり繰り返しています。

自宅ではこれだけ制限があるので、実際に師匠とのお稽古で師匠宅の舞台に上がったり、今回のような「本番」で能楽堂の舞台に上がったりすると、広さや距離などの感覚が全く違うのでかなり戸惑うことになります。なおかつリアルスケールの能舞台には独特の雰囲気も漂っていますし。

普段は仕舞や舞囃子地謡やお囃子などはパソコンなどで音声を再生しているだけですが、本番は大音量の肉声や音が迫ってきます。これ、普段「見所(客席)」で見ている時より何倍も大きく力強く聞こえます。多分能舞台の屋根に反響しているからじゃないかと思いますけど、とにかくこれも独特の雰囲気を否が応でも盛り上げてくれます。

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今回の温習会、私は連吟で「猩々」、仕舞の地謡で「安宅」「天鼓」「三輪」、舞囃子地謡で「羽衣」「清経」「高砂」、能の地謡で「杜若」、それに自分の舞囃子「龍田」で舞台に上がります。すべての謡を間違えずに謡えるかしら……というのもさることながら、舞囃子「龍田」に出てくる「神楽」の舞できちんと拍子を踏めるかしら、一時間以上もある能「杜若」でずっと能舞台に正座して、終演後に舞台から捌ける際、足がしびれずちゃんと立てるかしら、というのがいささか心配です。

番組(プログラム)はこちら。お能にご興味ありましたら、ぜひお出ましください。

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佳門会 | 喜多能楽堂