インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

筋トレが最強のソリューションである

大変失礼ながら、以前だったら絶対に手に取らないタイプの本でした。タイトル、装幀、イラスト、ぱらぱらっとめくってみたときの内容、ぜ〜んぶ。


筋トレが最強のソリューションである マッチョ社長が教える究極の悩み解決法


超 筋トレが最強のソリューションである 筋肉が人生を変える超・科学的な理由

特に最初に出た上の本など、内容はほとんどTwitterのツイート集です。SNSで評判になったので書籍化しましたという最近よくあるタイプの編集手法。帯には「痩せない 仕事× モテない うつ気味 →筋トレ」などと惹句が書かれていて、も、ホント、以前の私だったら一顧だにしなかった類の本でした。

……ところが。

これがもう、刺さる刺さる。特にこのトシになって原因不明の不定愁訴(いわゆる「男性版更年期障害」)に悩まされ、肩凝りと腰痛に苛まされ、やむにやまれずジムで体幹と筋肉のトレーニングを続けて九ヶ月ほど経とうとしている私にとっては、筆者の、やや芸人さんの「ネタ」に近いような短い言葉の数々が、ものすごい説得力を持って迫ってくるのです。

不定愁訴や肩凝りや腰痛など、絶え間ない不調がもたらすのは単に身体の不調だけではありません。気持ちまで落ち込んできます。暮らしのあらゆることが面倒になり、億劫になり、仕事にも積極的に取り組めなくなります。食事をするのも、本を読むのさえ大儀になってくる……そう、QOL(クオリティ・オブ・ライフ=人生の質・生活の質)が著しく下がってしまうのです。

qianchong.hatenablog.com

著者のTestosterone氏ご自身は、人々が「筋トレ」とか「ボディビルディング」という言葉から想像する人そのもののような「マッチョ」な人物らしいです。でも氏は、みんながみんなそれを目指す必要はないと繰り返し説いています。その人なりの生きる気力を高めてくれるような、そして健康で活き活きと暮らせるようなトレーニングのあり方を模索するように勧めます。

特に最近出た下の本(タイトルに「超」がついているほう)では、ご自身の「筋トレ推し」に科学的なエビデンスを与えるべく、スポーツ科学の研究者の解説に多くの紙面が割かれています。「ネタ」のツイートも入っているので、読んで見ようと思う方はこちらの本だけでもよいかもしれません。

それにしても……若いときは「健康」という言葉をことさら前面に押し出すのさえどこかに恥や衒いの感情があったものですが、今はもうハッキリと自信を持って「健康、大事だよ」と言えますね〜。特にこのトシ以降、今の健康を維持し続けることが「最強のソリューション」ですよ。そう、私のような年代の者にとって、筋トレするのは別に「マッチョ」になりたいわけでも「モテたい」わけでもなくて、ただただ普通に健康に暮らし続けて行きたいからなんです。

そしてそれは、言い換えれば、この先意識的に運動やトレーニングをして行かないと、老化への下降は止めどなく続いていくということでもあります。学生時代に有機農法の野菜を売る八百屋さんでアルバイトしていて、学校の同級生に「そんなに健康になりたいの? 長生きしたいの?」と揶揄されたことがあります。当時は「そんなんじゃねえよ」と混ぜっ返していましたが、今だったら堂々と言っちゃいますね。「そう。健康になりたい。長生きしたい。それが何か?」って。